ルノーのワークスF1チームであるアルピーヌは、2023年にトップチームたちに追い付くという目標を諦めてはいないようだ。
■エンジン開発凍結がアルピーヌの足かせに?
アルピーヌは2022年のF1コンストラクターズランキングを4位で終えている。しかし、3強チームであるレッドブル、フェラーリ、メルセデスとの差は大きく、F1関係者の多くは、2023年のアルピーヌがその3チームと互角に戦えるような状況にはならないと見ている。
そして、その理由のひとつが、アルピーヌF1マシンが搭載するルノーエンジンのパフォーマンスだ。現状では、現在、全10チーム中アルピーヌだけが搭載するルノーF1エンジンは、パフォーマンスや信頼性の面でライバルであるメルセデス、ルノー、そしてホンダエンジンのレベルには到達していないと考えられている。
2026年に新たなエンジンレギュレーションが導入される予定になっているが、それまでは現行エンジンのパフォーマンス改善開発は凍結されており、これ以上エンジンパフォーマンスを上げることはできない。
さらに、2022年シーズンには来季アストンマーティンへ移籍することになった年フェルナンド・アロンソがルノーエンジンの信頼性に大きな不満を抱いていたこともあり、こうした問題がある間は、F1選手権でも2022年と同じ4位争いをするのが精一杯だろうと考えられているわけだ。
■ルノーF1エンジンの信頼性確保がポイントに
こうした中、アルピーヌのエンジン責任者であるブルーノ・ファマンは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「まず、我々は問題が再発しないようにしなければならない。それから、我々は2026年型エンジンの開発にほぼ移行することになる」
「我々はすでに数か月間にわたってそれに取り組んできているよ」
ファマンによれば、2022年の信頼性トラブルはすべてルノーに直接の原因があったわけではないという。
「サプライヤーからのパーツにも問題があったんだ。しかし、それはどうでもいいことだ。我々にはすべてをチェックし、エンジンの信頼性を確保する責任があるからね」
■パッケージ改善でパワー不足を補うことも可能
ファマンはさらに、ルノーでは本格的にエンジン開発が凍結される2022年を迎えるにあたって、それまでは信頼性よりもパフォーマンス改善に焦点を合わせてきていたのだという。
「我々は多くのリスクを負い、エンジンを可能な限り軽くしようとしたんだ」
そう語ったファマンによれば、その結果2022年のエンジンパフォーマンスは確実に向上し、フェラーリ、メルセデス、ホンダに対する馬力の差は対処可能なレベルにまで縮まっているという。
アルピーヌのCEOを務めるローラン・ロッシは、「エンジンによる犠牲はコンマ1秒か、最大でもコンマ2秒」だと主張している。
「このレギュレーションにおいて、これ以上パワーを絞り出す余地はない。しかし、パッケージングを改善することはできるし、そうすればエンストン(イギリスにあるアルピーヌのファクトリー)で空力面を改善することができる」
そう続けたファマンは、次のように付け加えた。
「そして、信頼性の向上が性能の向上につながることも多いんだ。例えば、ピストンリングを強化すればノック限界を上げることもできるからね」。