ドイツ出身元F1ドライバーであるクリスチャン・ダナーは、ミック・シューマッハがハースの2023年のシートを確保することができなくても、それほど悪いことではないだろうと考えている。
■F1アメリカGPでポイント獲得に失敗したシューマッハ
ハースのオーナーであるジーン・ハースは、先週末にオースティンで開催されたF1アメリカGPの前に、シューマッハが2023年もシートをキープするためにはポイントを獲得することが必要だと警告していた。
しかし、チームメートのケビン・マグヌッセンがポイントを獲得した一方で、シューマッハはそのレースでもポイントを獲得することはできなかった。
「今日は確かにいいポイントに向かっていたと思う」
23歳のシューマッハはアメリカGP決勝後にそう語り、マシンがダメージを受けたことでペースが落ちてしまったのだと主張した。
■ポイント獲得はならずも「速さはあった」とシューマッハ
ハースにとってのホームGPであったオースティンでのレースをノーポイントで終えたことで2023年にシートを維持することが難しくなったと考えているかと質問されたシューマッハは、母国ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように答えた。
「チームは僕に何ができるかを知っているし、それを見てきたと思っている」
「あそこにいた誰もが、僕がポイントを獲りに行っているのを見ていた。だから、それができなかったのはものすごく残念だよ」
「だけど、ペースはあるんだ」
■チームの将来を考えてドライバーを決めるとハースのボス
アメリカGPを前に、デンマーク出身ドライバーである30歳のマグヌッセンは、シューマッハは2023年の契約を勝ち取るにふさわしいドライバーだとコメントしていた。
しかし、チーム代表としてハースを率いるギュンター・シュタイナーは、そのことに言及しながら、次のように語った。
「誰がマシンをドライブすべきかについて、私はみんなから多くの助言をもらったと思う。もちろんケビンからもね。だが、それは彼の考えだ」
「結局のところ、私には将来に向けて自分たちチームのことを考える必要があるんだ。そして、我々が望むドライバーをクルマに乗せることになるだろう」
現時点において、まだ2023年に誰が座るのかが確定していないF1シートは2つだけとなっている。そのうちのひとつであるウィリアムズに関しては、現在F2で戦っている21歳のアメリカ人ドライバーであるローガン・サージェントを起用する方向で固まったと報じられている。
つまり、シューマッハがもしハースに残留することができなければ、2023年にはどこかのチームでリザーブドライバーを務めるか、あるいは単純に1年間F1から離れ、2024年に向けて復帰のチャンスを探るしかなくなってしまうということだ。
■1年休むのもシューマッハにとって「悪くはない」とダナー
こうした中、1980年代後半にザクスピードやアロウズでF1を戦った経験を持つ64歳のダナーは、母国ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に次のように語った。
「彼のような男にとって、1年の休みはそれほど悪くはないと思うよ」
「彼はまだ若いから、その後簡単にF1キャリアを再開できるよ」
■アウディと組むためにもF1を走り続けることが重要だとの意見も
だが、ドイツの著名なジャーナリストであるラルフ・バッハは、そうは思わないようだ。
「ミックにとっては、2023年に生き残ることが重要だと私は思う」
「なぜなら、私の見るところ、彼の未来はアウディと共にあるからだ」
「彼らは彼を欲しがっているし、すでに交渉も行われている。私は交渉が行われていると断定できるよ」
バッハとしては、アウディとの交渉をうまく進めるためにも、2023年も引き続きF1で走って、いいパフォーマンスを示すことがシューマッハにとって重要なことだと考えているようだ。
■ドイツ人ドライバーに興味はあるとアウディのボス
新F1エンジンレギュレーションが導入される2026年からエンジンサプライヤーとしてF1に参戦することが明らかとなっているドイツの自動車メーカーであるアウディだが、これまでに報じられたところによれば、現在はアルファロメオというチーム名でエントリーしているスイスのF1チームであるザウバーと組むことがほぼ確実だと考えられている。
アウディのF1プロジェクトリーダーであるアダム・ベイカーは少し前に、シューマッハを起用する可能性について尋ねられた際、次のように答えている。
「正直なところ、ドイツ人ドライバーは我々にとって興味深い存在だよ」
「しかし、最終的な決定は国籍ではなく、パフォーマンスに基づいて行われるだろうね」
■ハース残留はシューマッハにとって諸刃の剣?
しかし、ダナーは、シューマッハがハースにとどまることは、むしろ将来に向けて彼のF1での可能性を損なう可能性すらあると考えているようだ。
「あの環境では、彼にとっては多くの問題があるよ」
ハースに言及しながらそう語ったダナーは、次のように付け加えた。
「もしも最高の状態ではないと彼らに思われてしまうと、ものすごく難しくなるという雰囲気だからね」。