ハースとしては、2022年シーズン限りでマクラーレンのシートを失うことが決まっているオーストラリア出身ドライバーのダニエル・リカルドに興味を持っているものの、リカルドの方は2023年にアメリカンF1チームでケビン・マグヌッセンのチームメートを務めるつもりはないようだ。
■リカルドを追いかけるつもりはないとハースのボス
ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、9月に33歳のリカルドにメールを送ったことを認めていた。
だが、シュタイナーはこのほど『AP通信』に次のように語り、リカルドが2023年にハースに加入する可能性がないことを示唆している。
「もし彼が我々に興味を持っているのなら、電話をかけてくることを厭わないはずだ」
「私は彼を追いかけるつもりはないよ」
「私は、彼がまず自分のためにどうしたいのかを決めて欲しいと思っている。何らかの説得を受ける前にね。彼はいいドライバーだと思うし、どうして今のような状況になったのか私には分からない。だが、彼には自分自身のことを整理して、これからどうするのかを決める必要があると思うよ」
「我々にとっては、彼は大きな存在になっただろう。彼は昨年もレースで勝っている。私はドライバーとしての彼を評価しているし、なぜ彼が今パフォーマンスを発揮できていないのか全くわからないよ」
「それは彼が解明すべきことだ」
■2024年によりよいチャンス獲得を目指すリカルド
そのリカルドに関しては、すでに2023年にはメルセデスのリザーブドライバーを務めることが決まっているというのが大方の関係者の見方だ。
「時間が経つにつれて、それが自分にとって必要なことだという気持ちが強くなるだろうね」
「実際のところ、来年にはチャンスらしきものは何もないんだ」
2023年はレースに出ないという決断をしたことについて尋ねられたリカルドはそう答えると、次のように付け加えた。
「少しリセットするために休みたいというのもあるし、2024年にはもっといいチャンスがあるかもしれないよ」
■シューマッハのハース残留は「五分五分」
いずれにせよ、今年ハースで2年目のF1シーズンを過ごしているドイツ出身のミック・シューマッハが2023年もハースに残留できるかどうかは非常に不透明な状況にあるのは確かだ。
ハースのチームオーナーである69歳のジーン・ハースは、シューマッハがシートをキープするには今季の残り4レースでポイントを獲得する必要があると警告している。
しかし、シュタイナーによれば、伝説的ドライバーであるミハエル・シューマッハの23歳の息子には、まだシートを確保できる可能性も残されているようだ。
「正直に言うと、まだ五分五分だ」
ドイツの放送局『n-tv』にそう語ったシュタイナーは、次のように付け加え、今月末に行われる第20戦メキシコGP(30日決勝)の後で決断を下すことになるだろうと示唆している。
「オースティン(アメリカGP/23日決勝)とメキシコの間で決断することはないだろう。なぜなら時間がないからね。次はメキシコの後だろうね。そこならそれに取り組むための時間もとれるだろう」
■プレッシャーに対処するのもF1ドライバーの仕事
一方、シュタイナーは、ハースがまだ若いシューマッハに過剰にプレッシャーをかけているという批判があることに対し、次のように反論している。
「アスリートであれば、常にプレッシャーがかかるものだよ。彼は、自分がパフォーマンスを発揮しなければならないことを知っている。我々はそのことについて率直に話しているよ」
「プレッシャーは悪いことではないんだ。プレッシャーがあればチャンスだって得られるのだからね。そして、彼ならそれをうまく処理できると私は思っているよ」
「我々は同じ飛行機で日本から帰国したんだが、彼はかなり上機嫌だったよ。彼はレース一家に育ったし、何が重要なのかも知っているんだ。それは彼の仕事の一部なんだよ」
■ヒュルケンベルグとの交渉を認めたシュタイナー
最近のうわさでは、そのシューマッハとシートを争っているのが、現在アストンマーティンのリザーブドライバーを務めているニコ・ヒュルケンベルグだと考えられている。
2019年シーズン限りでルノーのシートを失ったドイツ出身の35歳となるヒュルケンベルグだが、2020年と今年には新型コロナウイルスに感染したドライバーの代役として合計5レースに出走しており、そこでかなりのパフォーマンスを示してみせている。
シュタイナーもこのほど、経験豊かなドライバーであるヒュルケンベルグと話をしたことを公式に認めている。
「彼と話をしたよ。私はずっと前からニコを知っているんだ。ダニエルのことよりもよく知っているよ」
ドイツのテレビ局『RTL』にそう語ったシュタイナーは、次のように付け加えた。
「我々は話をしている。しかし、まだ何も決まっていない」。