今週末に2022年F1第17戦が開催されるシンガポールから気になるニュースが伝えられている。
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』によれば、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、レッドブルなどが昨年(2021年)のバジェットキャップ(チーム予算上限)ルールに違反していなかったかどうかについて、間もなく調査を開始する可能性があるという。
■レッドブルに予算制限違反の可能性があると示唆していたフェラーリ
今年もバジェットキャップに関する疑惑があるのは事実だ。
少し前には、レッドブルがより軽量な2022年型マシンの新シャシーを開発しており、FIAが義務づけているクラッシュテストを受ける準備をしているとのうわさが流れたことがある。そのとき、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、現在のチーム予算でそれほどの開発をするのは不可能なはずだと次のように語っていた。
「彼らが何をやっているのか、彼らが軽いシャシーを持っているのかいないのか、私には知るよしもない。しかし、一般的に言って、バジェットキャップは常に懸念材料となっている」
「財政規制はチームによって差を生む可能性もある。彼らの解釈や、何らかの形でそれを実行する方法によってね」
「そして、我々は、それが適切に守られているかどうかをFIAが強力にチェックする必要があることもわかっている。そうでなければ、レギュレーションは公平かつ公正なものにはならないからね」
■FIAが3チームの調査を始めるだろうとイタリア紙
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、FIAは実際にはレッドブルチームだけでなく、3つの調査を別々に開始しつつあるとしており、そこで何らかの違反が見つかれば、そのチームには罰金が科される可能性や、過去に遡ってポイントを剥奪される可能性さえあるだろうとしている。
今のところ、シンガポールのパドックでささやかれているFIAによる調査のうわさに関しては、文字通り単なるうわさに過ぎないという見方もあるようだ。
■軽量シャシーがなくても勝てているとフェルスタッペン
しかし、2021年のF1チャンピオンであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、今シーズンの残りのレースでさらに軽量化されたシャシーを使用する計画があるのかと尋ねられると次のようにジョークを交えて答えている。
「いや、僕たちにはほかのシャシーなんてないよ」
「僕たちは賭けをしたんだ。もしモンツァ(第16戦イタリアGP)で勝てたら、僕は古いシャシーを使い続けるってね。僕はアクセルを緩めて2位でフィニッシュしようと思っていたんだ。でも、いずれにせよ、レースに勝ってしまったよ」
■悪魔が邪魔をしない限り今年のタイトルは確実だとレッドブル首脳
ともあれ、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、レッドブルが2022年のF1タイトルを獲得するのはもう確実だと考えている。
「F1タイトルは単に時間の問題だよ。やっかいな悪魔が関与してこない限りはね」
母国オーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』紙にそう語った79歳のマルコは、次のように続けた。
「我々はまだここでも勝ちたいんだ。マックスは勝ちたいと思っている」
「勝利数の新記録もマックスにとってはさらなるインセンティブになるしね」
マルコが言及した新記録というのは、F1における1シーズンの最多勝利記録のことだ。現在の記録はミハエル・シューマッハとセバスチャン・ベッテルが持つシーズン13勝だが、今季ここまでに11勝をあげているフェルスタッペンがもし残りの6レースのうちあと3勝することができれば、その記録を更新することになる。
■シンガポールGPの本命はフェラーリ?
とはいえ、マルコは、マリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで行われる今週末のレースではフェラーリに対して苦戦を強いられる可能性もあると示唆し、次のように付け加えた。
「このコースは全般的にフェラーリに合っているはずなんだ。彼らがここでの優勝候補だよ」。