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ピエール・ガスリーを失う可能性が高まったアルファタウリ 後任候補には日本人ドライバーも?

2022年08月18日(木)21:19 pm

ピエール・ガスリーが2023年シーズンを最後に、レッドブルとのドライバー契約を更新せず、現在所属しているアルファタウリを去る可能性が高まってきているようだ。

これは、レッドブルとそのセカンドチームであるアルファタウリのドライバープログラム責任者として知られるヘルムート・マルコが最近、フランス人ドライバーであるガスリーについて、2023年はアルファタウリで走るものの、来シーズン終了後には「自由になれる」と述べたことによるものだ。

■ガスリーが2023年で離脱ならその後任は?

実際のところ、2019年シーズン前半をトップF1チームのひとつであるレッドブルで戦ったガスリーだが、シーズン後半にはアレクサンダー・アルボン(現ウィリアムズ)と交替させられ、再びセカンドチーム(当時はトロロッソ)に降格されてしまっていた。

ガスリーは、それ以来、レッドブルへの復帰を目標として頑張ってきているものの、レッドブルがセルジオ・ペレスとの契約を2024年まで延長したことで、現在のレッドブルとの契約が2023年シーズン末で切れるガスリーの去就に注目が集まってきている。

仮にガスリーがレッドブルとの契約を延長したとしても、2025年に確実にレッドブルに復帰できるという保証はなく、F1関係者の間ではガスリーが2024年にはほかのチームへの移籍を選択する可能性が高いと考えられているようだ。

だが、そうなった場合、レッドブルとアルファタウリは、2024年には誰をガスリーの後任に据えるかという課題を抱えることになる。

■レッドブルの歯車を狂わせたビップスの解雇問題

少し前までは、その最有力候補は現在F2選手権で戦っているエストニア出身ドライバーのユーリ・ビップスだった。今季のF1第6戦スペインGPではレッドブルがフリー走行1回目にビップスを走行させていたことからもそれは明らかだろう。

しかし、人気オンラインビデオゲーム『Call of Duty(コール・オブ・デューティ)』をプレイ中にビップスが人種差別的な発言をしたことが問題となり、レッドブルはビップスとのジュニアドライバー契約を解除している。

だが、マルコはビップスを解雇したことを後悔しているようだ。マルコは最近、レッドブルがビップスとの契約を解除しなくてはならなかったのはイギリスのメディアが大騒ぎしたせいだと、責任転嫁とも受け取れるようなコメントを行っている。

「イギリスのメディアがレッドブル・レーシングが彼を解任せざるを得ないような批判の嵐を巻き起こしたんだ」

『Motorsport.com』にそう語ったマルコは次のように付け加えている。

「私個人としては、彼は21歳だし、謝罪もしたと思っているよ」

実際のところ、ビップスはその一件に関して、自身のインスタグラムを通じて公式に謝罪をしている。

マルコは、ビップスの件で最も腹立たしかったのは、それがビデオゲームをプレイしているときに起きたことだと次のように続けた。

「私を困らせたのは、彼らが午後は何もすることがないという理由でくだらないビデオゲームをしているときにそれが起こったことだよ」

「2分以上それができるなんて私には理解できないよ。だが、まぁ、それが若さというものなんだ。それに関しては、私には何もできないよ。マックス(フェルスタッペン)だってシムレースをやっているしね」

レッドブルがビップスを解雇した一方で、F2チームのハイテックグランプリはビップスとの契約を解除していない。同チームの代表を務めるオリバー・オークスは、ビップスにもう一度チャンスを与えると主張している。

■次の有力候補はノルウェー出身のハウゲか?

ともあれ、ビップスが抜けたことで、レッドブルのジュニアドライバーのうち、誰が次にF1に上ってくるのかということにも注目が集まり始めている。

ガスリーの将来の去就が不透明となっていることに加え、現時点では日本人ドライバーの角田裕毅が来季もアルファタウリに残留できるかどうかがまだ確定しておらず、仮にF1昇格に必要なスーパーライセンスポイントを手にするレッドブルジュニアドライバーが出れば、場合によっては2023年に角田に替わってアルファタウリでF1デビューを果たす可能性もあるだろう。

そして、現時点において、その筆頭候補だと考えられているのが、現在F2で戦っているノルウェー出身ドライバーのデニス・ハウゲだ。

2021年のF3チャンピオンである現在19歳のハウゲは、将来有望な若手だと注目されている。だが、今年はF2でなかなか結果を示すことができず、第6ラウンドが行われたバクーのフィーチャーレースでは優勝を飾ったものの、現時点ではランキング12番手にとどまっている。

2022年のF2選手権では4人のレッドブルジュニアドライバーが戦っているが、現時点ではインド人ドライバーのジェアン・ダルワラがランキング5番手、日本人ドライバーの岩佐歩夢が7番手、ニュージーランド出身のリアム・ローソンが8番手となっており、いずれもハウゲを上回っている。

ただ、昨シーズンF3タイトルをとっているハウゲが今後順位を上げてスーパーライセンスポイントをトータルで40ポイントに伸ばすか、わずかにおよばなくとも、どこかのF1レースで金曜フリー走行に出走することができれば、早ければ2023年にもF1デビューが実現する可能性は出てくるだろう。

■誰がふさわしいのかを予測するのは難しいとレッドブル首脳

だが、そうした可能性について質問を受けたマルコは、まだ来年以降のことを予測できる段階ではないとしている。

「デニス・ハウゲはすばらしい形でF3を支配していた」

「今の彼はF2で浮き沈みがあり、安定していない。決め手となるのはパフォーマンス以外にはないが、それは変わりやすいんだ」

そう語ったマルコは、次のように付け加えた。

「できると思っていた人が突然できなくなることがあれば、その逆もある。だから、予測するのは難しいことなんだ」

第9ラウンドとして行われたフランスでのフィーチャーレースでF2初優勝を達成して勢いに乗る岩佐も、今年少しでもランキングを上げ、2023年シーズンにつなげることができれば、2024年にガスリーの後任候補となる可能性も十分にあるだろう。

日本のF1ファンとしては、2024年のアルファタウリのシートを角田と岩佐という2人の日本人ドライバーが埋めることを期待したいところだ。

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