フェラーリは夏休み後最初のレースとなるF1第14戦ベルギーGP(28日決勝)で、アップグレードされたエンジンを導入することになるようだ。
フェラーリは間違いなく2022年にはグリッド上で最も速いF1マシンを開発することに成功している。だが、信頼性と戦略ミスなどにより、現在ランキング2番手につけているシャルル・ルクレールはレッドブルのマックス・フェルスタッペンに80ポイントもの差をつけられている。
■開発凍結前にエンジン改良を目指すとビノット
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットはこのほど、『motorsport.com』のイタリア版に対し、エンジン(開発)凍結に向けてハイブリッドシステムの開発を進めたいと考えていることを認めている。
実際、F1エンジンメーカーたちは9月1日(木)までに、ES(エネルギー貯蔵装置)、CE(電子制御機器)、MGU-K(運動エネルギー回生システム)の最終仕様をF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に申請しなければならないことになっている。
ビノットは次のように語った。
「我々はそれに取り組んでいる。だが、それが転機にはならないだろう」
■開発凍結前にエンジン改良を目指すとビノット
2021年には、メルセデスがシーズン後半にバルテリ・ボッタス(現アルファロメオ)のマシンに年間を通じて6基目(許容数は3基)、ルイス・ハミルトンのマシンには5基目となるICE(内燃機関)を投入するなど、グリッド降格ペナルティを覚悟の上でパワーアップを図るというやり方をとっていた。
だが、ビノットは、自分たちはそういうやり方を目指しているのではないと次のように語っている。
「いや、私は、それは戦略ではないと思う」
昨年のメルセデスの新エンジン投入についてそう語ったビノットは次のように付け加えた。
「彼らにとってそれは計画的にではなく、むしろ結果的にそうなったのだと私は思っているよ」
■ベルギーで投入する改良エンジンに期待するフェラーリ
ビノットは、ベルギーGPの舞台となるスパ・フランコルシャン・サーキットでデビューすることになる改良エンジンにはパフォーマンスと信頼性の両方の改善を期待していると語り、次のように続けた。
「パーツをテストする時間が限られていることも忘れてはならない。それが我々の仕事にも影響を及ぼしているんだ」
「だが、我々は無理をし過ぎていたとは思っていない。我々は信頼性よりも性能を優先していただけなんだ」
「制限がなかったときには、もっと開発ができたし、テストベンチの時間も長くとれた。それは性能と信頼性の両面にとっていいことだった」
そう述べた52歳のビノットは、現在はパフォーマンスをとるか信頼性をとるか、どちらかを選ぶしかないのだと次のように付け加えている。
「だが今は、時間的な制約があるため、我々は選択を迫られているんだ」
フェラーリのルクレールとカルロス・サインツは、これまでにすでに4基目の主要エンジンコンポーネントを投入しており、今後新たなコンポーネントを投入すれば、それに応じたグリッド降格ペナルティが科せられることになる。