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メルセデスが主張「ポーポイズ現象対策を怠ればF1ドライバーが脳にダメージを受ける恐れがある」

2022年08月02日(火)18:10 pm

メルセデスのチームCEO兼代表であるトト・ヴォルフが、もしもF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が提案した2023年のポーポイズ現象防止ルールの導入を見送ることになれば、F1ドライバーたちの脳がダメージを受ける可能性があると主張している。

■激しい上下振動に悩まされる今年のF1ドライバーたち

今年はこれまでとは大きく異なる技術レギュレーションが導入され、F1マシンはシャシーそのものがダウンフォースを発生する“グラウンドエフェクト”効果を持つものに変わっている。

だが、その結果、高速走行時にF1マシンが上下に何度も激しく振動するポーポイズ現象が引き起こされ、ドライバーの身体的負担も大きくなっている。

実際のところ、バクー市街地サーキットで開催された今季の第8戦アゼルバイジャンGPでは、4位でフィニッシュしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が決勝でチェッカーフラッグを受けた後に、なかなかマシンから降りることができないほどの痛みを訴えていた。

■FIAのルール修正提案に6チームが反対

こうしたことを受け、メルセデスがFIAに対し、ドライバーの安全を確保するためにはポーポイズ現象対策が必要だと強く働きかけたと伝えられており、FIAは2023年シーズンからF1マシンのフロアの端を25ミリメートル上げる形にルールを修正することを提案している。

だが、そのFIAのルール修正案がそのまま通ってしまえば、2022年シーズンに明らかにライバルチームたちよりも速いマシンを持ち込んだレッドブルとフェラーリのパフォーマンスに最も深刻な影響を与える可能性があり、逆に、強いポーポイズ現象を抱えているメルセデスにとっては有利な状況となると考えられている。

伝えられるところによれば、レッドブルとフェラーリを筆頭に、少なくとも10チーム中6チームがこのルール変更案に反対しているようだ。そして、現時点で反対の意思表示をしていない残りの4チームは、メルセデス、マクラーレン、アストンマーティン、ウィリアムズだとされており、それらはすべてメルセデスF1エンジンを搭載しているチームだ。

■メルセデスが“政治的”な“ロビー活動”をしているだけだとレッドブル陣営

レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、今季の第13戦ハンガリーGPが開催されたブダペストでこの件について次のように語った。

「フロアの変更に関する前回の議論や提案は、私の意見だが、安全性とは何の関係もないものだった」

「単に政治的なものだよ」

レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーも、ヴォルフは安全性を理由にFIAに対して「ロビー活動」をしているが、それはパフォーマンス面でメルセデスに有利になるようにルールを変更したいとたくらんでのことだと非難している。

■この問題を放っておけばドライバーの脳がダメージを受けるリスクも?

しかし、ヴォルフはそうした見方は事実に全く反しており、自分たちは純粋にドライバーの安全と健康を守るための措置が必要だと主張しているに過ぎないと次のように語った。

「私は、今でもFIAと我々全員がそれについて何か手を打たねばならないと信じているよ」

「1秒間に1回の振動が数分間続くと、脳に損傷を与える可能性がある。我々は1秒あたり6回から7回の振動を数時間にわたって受けているんだ」

しかし、ルール修正に反対しているチームの主張のひとつは、最近のレースではポーポイズ現象はかなり小さくなってきているというものだ。

だが、ヴォルフはそうした意見に対しても次のように主張している。

「その議論には意味はないよ。なぜなら、シルバーストンもポール・リカールもオーストリアも、それほど跳ねるサーキットではないからだ」

「私は、スパ(第14戦ベルギーGP/28日決勝)や、それ以降のいくつかのレースには行きたいとは思わないよ。それらのサーキットはこれまでのサーキットほどスムーズでないし、それ(ポーポイズ現象対策)について我々は何もしていないんだからね」

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