元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、夏休み中にフェラーリF1チームのトップが代わる可能性もあると考えているようだ。
■フェラーリの戦略ミスがレッドブルを助けた
7度F1王座についたミハエル・シューマッハを兄に持ち、自身もかつてウィリアムズやトヨタで活躍していたラルフ・シューマッハは、先週末に行われたF1ハンガリーGP決勝での最終スティントに向けてフェラーリがシャルル・ルクレールにハードタイヤに履き替えさせたのは「理解しがたい」ことだったと『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に語り、次のように付け加えている。
「レッドブルは、あのような手助けを期待してはいなかったと思うよ」
■これ以上ミスがあればチャンスはもうないとルクレール
パフォーマンス的には全チーム中最速のマシンを手にしているフェラーリだが、そのマシンをもってしても勝てないことが多いことに、このレースを最終的に6位で終えてしまったルクレールも頭を悩ませているようだ。
「ハードタイヤが僕らを殺してしまったよ」
そう語った24歳のモナコ出身ドライバーは次のように付け加えた。
「チームとしてもっとうまくやらないとならないし、何が悪かったのかを理解する必要がある。なぜなら、また同じことが起これば、もうチャンスはなくなるからね」
■フェルスタッペンのリードは戦略ミスが少ないおかげ
一方、ハンガリーGP決勝を10番グリッドからスタートして見事優勝してのけたランキングトップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、自分たちの戦略責任者であるハンナ・シュミッツ(プリンシパル・ストラテジー・エンジニア)は常に「とてつもなく冷静」だと語り、「タイトル争いをする上では、それはものすごく重要なことなんだ」と付け加えている。
フェルスタッペンの父であり、自身も元F1ドライバーであるヨス・フェルスタッペンも同意見だ。
「我々の決断がいつも正しいとは限らない。だけど、確かに、我々のミスは少ない」
母国オランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』にそう語ったヨス・フェルスタッペンは次のように付け加えた。
「我々が80ポイントもリードできているのはそのためだよ」
■責任者の更迭問題も話題に上り始めたフェラーリ
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットでさえ、ハンガリーGP決勝でルクレールにハードタイヤを履かせたのは「明らかに正しい判断ではなかった」と認めている。
「フランスやオーストリアでは正しい戦略をとることができていた。つまり、いつもは正しくできるんだ。我々は時々ミスをする。だが、ほかのチームたちも同じようにミスをしている」
だが、タイトル争いにからんでいるだけに、フェラーリのミスが大きく目立つ状態となっているのは確かだ。そして、このまま戦略ミスが続けば、今年もフェラーリが無冠で終わることになるのは間違いないだろう。
実際のところ、フェラーリは戦略責任者を務めるイニャキ・ルエダを更迭し、誰かほかの者にその仕事を引き継がせるべきだとの声も聞こえ始めている。
だが、そういう声に対し、ビノットは次のように主張している。
「イニャキだけでなく、チームの全員が素晴らしいし、私は彼らを全面的に支持しているよ」
「私は、我々のライバルたちがミスをしてもそれほど注目されることはないと思っている」
「だから、私はあらゆる意味で素晴らしい仕事をしてくれているチームの全員を完全に支持しているよ」
■夏休みの間にフェラーリのマネジメント体制に変化も?
だが、ラルフ・シューマッハは、これほど多くのミスが起こっていることを考えれば、ビノットのチーム代表としての役割に疑問が生じ始めているはずだと考えている。
ラルフ・シューマッハは、期待された結果が出せずにいるマクラーレンのダニエル・リカルドの名前を挙げながら、次のように語った。
「私は2人の仕事が危険な状況になっていると思う。ダニエル、そしてマッティアだ」
「フェラーリでF1タイトルを狙うことができるチャンスを得ながら、それをあまりにも不用意に投げ捨ててしまったら、もはやその位置にいるのは難しくなるはずだよ」
そう語った47歳のラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「だから、私は夏休みの間に彼に危機が訪れるだろうと思っている。小さなミスが多すぎるし、技術的な問題も多すぎるよ」。