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ビルヌーブ、メルセデスF1がバウンシング対策を主張するのは「いつもの政治ゲーム」 ガスリー 「30歳で杖をつきたくない」

2022年06月13日(月)21:24 pm

1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブによれば、メルセデスは2022年シーズンに各チームが悩まされているF1マシンの“ポーポイズ現象”問題を利用して自分たちに有利な方向へルールを変えようともくろんでいるのだという。

■バクーで強い痛みを訴えたハミルトン

ポーポイズ現象とは、高速走行時にマシンが上下に何度も大きく振動する現象のことだ。2022年に導入された新しい技術レギュレーションでは、F1マシンはシャシー自体がダウンフォースを発生する、いわゆるグラウンドエフェクト効果を持つものに変わっている。このグラウンドエフェクトマシンにとって宿命的な課題となるのがこのポーポイズ現象だ。

実際のところ、先週末に先週末にバクー市街地サーキットで行われた今季の第8戦アゼルバイジャンGPでもマシンに備えられたオンボードカメラの映像では、マシンが大きく上下に振動(バウンシング)している様子がとらえられていた。

7度F1チャンピオンとなった実績を持つメルセデスのルイス・ハミルトンは、アゼルバイジャンGP決勝を4位でフィニッシュした後、目に見えて背中の痛みを訴えていた。これはバウンシングによる身体への負担が非常に大きかったことを意味するものだととらえられている。

■ハミルトンのレース後の所作は意図的なもの?

だが、このことに関して疑惑の目を向けた者もいるようだ。

このレースで今季5勝目をあげた2021年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の母国であるオランダでF1解説者を務めるオラフ・モルは、『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』に次のように語っている。

「彼はカメラを見て、それから背中に手を当てながら歩き始めていた」

「彼はすべての人にそれを見せたかったんだ。それは彼ら(メルセデス)がFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)に何かを変えさせたいと望んでいるからだ。彼らはそれが非常に危険だと言っているからね。それが彼らやろうとしていることだよ」

■ハミルトンがカナダGPに出走できるかどうかはわからないとメルセデスのボス

メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフによれば、バクーでのレースを終えたハミルトンは現在「体調不良」を抱えており、今週末にモントリオールで行われる第9戦カナダGPまでに体調が戻るかどうかは「間違いなく」疑問だという。

「それは筋肉の問題ではなく、脊椎の奥の問題であることがわかる」

そう語ったヴォルフは次のように付け加えた。

「解決策は、どのレースでもそうしているように、誰かをリザーブに置くことだ」

■F1チームやドライバーたちが問題解決のための話し合い

伝えられるところによれば、先週末のバクーでは、F1チームがポーポイズ現象をなくすためのルール変更が可能かどうかについての話し合いを持っていたようだ。

そしてF1ドライバーたちによる任意団体であるGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)でも同様にこの問題についての話し合いが行われていたという。

「僕たちもやったよ」

アゼルバイジャンGP決勝を4位で終えたメルセデスのジョージ・ラッセルはそう語ると次のように続けた。

「僕たちは反対票を投じたと思う」

「僕たちは変化を求めているけれど、その変化がどんなものなのかは誰にもわからない」

「誰もこれをうまく利用しようとは思っていないし、僕たちはただより安全で簡単な解決策を探しているところだよ」

■このままだと身体が壊れてしまうとピエール・ガスリー

アゼルバイジャンGP決勝を今季の自身最高位となる5位で終えたアルファタウリのピエール・ガスリーも、ポーポイズ現象には何らかの対策が必要だと考えているようだ。

「ドライバーズミーティングでこの問題について議論したんだ」

そう語った26歳のフランス人ドライバーは次のように付け加えた。

「FIAが解決策を見つけてくれることを期待しているよ。30歳で杖をついて歩くようなことにはなるのはいやだからね」

ヴォルフによれば、そのドライバーズミーティングでは、アロンソひとりを除いて、ほかのすべてのドライバーがこれは解決すべき問題だと同意したという。

■これはゲームの一部だとレッドブルのボス

しかし、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、とりわけメルセデスやそのドライバーたちが強くポーポイズ現象対策を求めていることに関して、それは政治的な駆け引きをしているのではないかと疑っているようだ。

「もし、我々が彼らと同じような困難を抱えていたら、私だってドライバーたちに無線でできるだけ悪態をつけと言うだろうね」

そう語ったホーナーは次のように付け加えた。

「これはゲームの一部だよ」

■解決策はすでにあるはずだとビルヌーブ

歯に衣着せぬ発言を行うことで有名なビルヌーブは、メルセデスが本当にポーポイズ現象を抑えたいのであればその手段はすでにあるはずだとオランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』に次のように語っている。

「彼らの懸念は理解できる。だが、メルセデスには解決策がある。車高を上げることだ」

「誰も彼らにそんなに低くして走ることを強制しているわけではない。だが、ヴォルフがルールを変えようと言っているのは、私の意見だが、F1におけるいつもの政治ゲーム以外の何ものでもないよ」

ビルヌーブは次のように付け加えた。

「メルセデスはレッドブルやフェラーリとの差を縮めるためなら何でもするだろう。彼らは近年、できるだけ変更しないことを望んでいたが、それと同じようにね」

ビルヌーブが言うように、マシンの車高を上げればポーポイズ現象の発生はかなり抑えることができる。だが、そうなるとマシンが発生するダウンフォースも減ってしまうことから、そのF1マシンはストレートでのスピードがかなり遅くなってしまうことになる。

メルセデスにしろ、ほかのF1チームにしろ、ドライバーの身体的負担の大きさは問題だとしても、自分たちのマシンだけが遅くなるような解決策をとることは望まないだろう。

今後、この問題がどのような進展を見せるかにも興味が集まることになりそうだ。

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