ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーが、2週連続開催となる第8戦アゼルバイジャンGP(12日決勝)と第9戦カナダGP(19日決勝)に向け、アゼルバイジャンGPの舞台となるバクー市街地サーキットでクラッシュし、マシンを壊すことは許されないと警鐘を鳴らした。
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このシュタイナーのコメントは、もちろん、2年目のF1シーズンを迎えているミック・シューマッハに向けてのものだろう。
ケビン・マグヌッセンという経験豊かなチームメートを迎えたことによるプレッシャーもあってか今年はミスによるクラッシュが多くなっているシューマッハだが、前戦モナコGPでもマシンが2つにちぎれるほどの大クラッシュを演じてしまった。
これに関して、シュタイナーは「あまり満足できることではなかった」と語っており、メディアにはシューマッハが今季限りでシートを失う可能性も出てきているようだとの記事も見受けられるようになっている。
■大陸間移動2連戦だけにクラッシュはNG
実際のところ、世界的なインフレ傾向の中で、各チームはバジェットキャップ(チーム予算上限)が設定された予算枠の中で懸命なやりくりをしているのが現状だが、これまでにハースがシューマッハのマシンの修理に費やした費用はかなりの額に上っているものと推測されている。
こうした中、シュタイナーは、東ヨーロッパと西アジアの境界に位置するアゼルバイジャンでのレースが終われば、わずか数日の間に北米のカナダまでF1マシンを空輸する必要があるだけに、小規模予算チームとして知られているハースにはこれ以上のクラッシュやマシン修理は許されないと次のように語った。
「大変なのは、ある大陸から別の大陸へ行くということだ」
「もし、マシンがダメージを受ければより難しくなってしまう。だから、バクーでは何もダメージを受けないようにしたいと望んでいるよ」
■2023年のF1カレンダーはあまり無理のないものに?
アゼルバイジャンとかなり距離が離れているカナダで2週連続開催となっていることについては以前から疑問や批判的な意見があったのは事実だ。
そして、最近、F1オーナーのリバティ・メディアと統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、2023年にはより賢明なカレンダーを編成することを考えていると報じられている。
「地域ごとにレースを組み合わせることができれば最高だ」
そう語ったシュタイナーは、現在F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリの名前をあげながら、次のように付け加えた。
「そのことに関してステファノが懸命に取り組んでいるのは知っているし、来年はいい方向に向かうと思うよ」。