2022年F1シーズン序盤に築いていた大きなリードをレッドブルにひっくり返されてしまったフェラーリだが、再びトップに返り咲くために急ピッチで2022年型マシンの開発プログラムを進めているようだ。
イタリアのスポーツ紙『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』が伝えたところによれば、フェラーリはパワーユニットと呼ばれるハイブリッド方式F1エンジンを改良することで、再びシャルル・ルクレールをランキングトップに返り咲かせることを目指しているという。
■シルバーストンで改良エンジン投入を目指すフェラーリ
今季のF1第10戦イギリスGP(7月3日決勝)で投入される予定だと伝えられているその改良版エンジンは、電子部品やハイブリッドパーツ(熱エネルギー回生システムのMGU-H、及び運動エネルギー回生システムのMGU-K)に改良が加えられたものになるようだ。
また、フェラーリでは今週末にバクーで開催される第8戦アゼルバイジャンGP(12日決勝)でもマシンに小規模な改良を加えるほか、その1週間後にモントリオールで行われる第9戦カナダGP(19日決勝)と8月28日に決勝が予定されているスパ・フランコルシャンでの第14戦ベルギーGPにはより大幅な空力的アップグレードが施されたマシンを投入する計画だという。
現在フェラーリが取り組んでいるエンジンの改良に関しては、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)のレギュレーションでまだ開発することが認められている電気系のエリアの改善だと伝えられており、そのエリアにおいてのみ「馬力だけでなく信頼性の開発を行うことも許されている」という。
■エンジントラブルだけは避けたいフェラーリ
今季は年間に使用できる主要エンジンコンポーネントは3基までとなっているが、ルクレールのマシンには現時点では2基目のコンポーネントが投入されている。
つまり、もしイギリスGPを迎える前のアゼルバイジャンかカナダで3基目のコンポーネントがルクレールのマシンに投入されるような事態になれば、イギリスGPで改良版エンジンを投入すれば、そこで年間の許容数を超えるエンジンコンポーネントを投入することになるため、グリッドペナルティを受けることになってしまうわけだ。
フェラーリとしては、今週末と来週末の2レースをなんとしても現在のエンジンで乗り切ることが必要となるだろう。
■唯一危険なのはメルセデスが強さを取り戻すことだとレッドブル首脳
一方、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)によると、現在レッドブル、フェラーリ、メルセデスが搭載している今季のF1エンジンの性能差は小さいという。
「昨年のルイス・ハミルトンのエンジンには奇妙なエンジンパワーの優位性があった。私はもはやそうではなくなっていると思っている」
『formel1.de』にそう語ったマルコは、第6戦スペインGPと第7戦モナコGPではメルセデスが序盤の劣勢をだいぶ克服してきたように見えるものの、「ただ、彼らには一貫性がないんだ」と語り、次のように続けている。
「そのことが、どこからそのラップタイムが生まれているのかを推定するのを難しくしているんだ。しかし、メルセデスの話を聞くと、彼ら自身もそれがわかっていないような印象があるね」
「唯一危険なのは、メルセデスには間違いなくポテンシャルがあるということだ。彼らが今以上にマシンの力を引き出すことに成功すれば、またグリッドの上位に戻ってくるだろうね」。