3人のフェラーリOBたちが、今季のF1第7戦モナコGPで勝利をレッドブルにさらわれたものの、優れたマシンを持つフェラーリにはこれから十分に逆転するチャンスがあると示唆した。
■雨のモナコでレッドブルに逆転勝利を許したフェラーリ
レース開始直前に降り始めた雨にたたられてしまった今年のモナコGPだが、レッドブルが予選でフロントロウを独占していたフェラーリを逆転。セルジオ・ペレスが優勝し、マックス・フェルスタッペンが3位と、2人のレッドブルドライバーが表彰台にのぼった。
一方のフェラーリは、2番グリッドからスタートしたサインツが決勝でも2位となったものの、ポールポジションからスタートしたシャルル・ルクレールは4位に順位を下げてしまった。
■モナコでの敗因はピット戦略ミスだとドライバーたち
レース後、ルクレールはチームの戦略ミスによってさらにフェルスタッペンとのポイント差が開いてしまったと嘆き、サインツもピットストップを行った際に遅いマシンの後ろでコース復帰したことによって勝利を逃してしまったと主張している。
実際のところ、メディアにもフェラーリのレース戦略のまずさをモナコでの敗因としてあげているものが多い。
■戦略ミスよりも強力なマシンに目を向けよとベルガー
だが、80年代と90年代に2度にわたってフェラーリで走った経験を持つオーストリア出身元F1ドライバーであるゲルハルト・ベルガーは次のように語った。
「フェラーリは先週の日曜日の戦術的なミスについて批判されすぎている」
「我々は本当のところ、マッティア・ビノット(フェラーリ/チーム代表)がサーキットに投入した強力なマシンを祝福すべきだよ。だって、ほんの数か月前にはそんなことは予想すらしていなかったんだからね」
現在はDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の最高責任者を務める62歳のベルガーは、サインツも今後はもっと調子をあげてくるはずだと考えている。
「7戦を終えて、サインツはまだF1チャンピオンになることを夢見ているし、それも当然だ。彼はトップからそれほど離れていないからね。彼を見くびってはならないよ」
現在、ドライバーズランキングトップにいるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と42ポイント差の5番手に位置しているサインツについてそう語ったベルガーは、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように付け加えた。
「全体的に見れば、フェラーリは回復してきている。そして、モナコではマシンがさらによくなっていた。2位と4位は悪くないよ」
■レッドブルがフェラーリに勝っているのはレース中の対応力だけだと元チーム代表
また、かつて1989年から1991年にかけてフェラーリF1チームを率いていたチェーザレ・フィオリオも、モナコでの戦術的ミスをあまりにも悲観的にとらえるのは間違っていると考えている。
「私はレッドブルの方がレース中のサプライズへの対応に長けていると思う」
ベルガーと同じく『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』にそう語った83歳のフィオリオは次のように付け加えた。
「フェルスタッペンがアブダビ(2021年F1最終戦)でタイトルを獲得したのは、ピットウォールのおかげだったということを忘れるわけにはいかないよ。その点ではレッドブルがフェラーリに勝っているね」
■モナコでのフェラーリは不運だっただけだとアーバイン
1996年から4年にわたってフェラーリのドライバーを務めていたエディ・アーバインも、先週の日曜日に滑りやすいモナコでのレースがピットストップによる重要な局面を迎えたときに、レッドブルがもう一つのアドバンテージを持っていたのだと考えている。
「あのようなピットストップの局面では、自分が追う立場の方がやりやすいんだ。特に前回のレースのような状況にあってはね」
「カルロス・サインツがバックマーカーに出くわさなければ、彼がレースで勝利していたであろうことも忘れてはならない。ほとんど不運だったと私は思うよ」
そう語った56歳のアーバインは次のように付け加えている。
「もちろん、何が起こったのかをよく調べ、二度と起こらないようにしなければならない。彼らが有しているマシンであれば、勝てないのは常に残念なことだからね」。