2021年限りでF1の表舞台から撤退したホンダが、2022年F1日本GPのタイトルスポンサーに決定した。
■2022年からは裏方でレッドブル陣営をサポート
ホンダは電動化時代への過渡期である今、全社を挙げてカーボンニュートラルに取り組むべく、2021年限りでF1参戦を終了すると発表。ホンダにとってDNAでもあるF1と永遠の別れのような言葉に、日本のみならず世界中のF1ファンに衝撃を与えた。なによりホンダ関係者、そしてF1参入を決断していた八郷社長(当時)も無念の決断だった。
しかし、その後、強力なホンダ・パワーを必要とするパートナーのレッドブルからはラブコールが送られ、ホンダもそれに応えるべく検討した結果、2022年からはレッドブルが新たに設立したパワーユニットブランド「レッドブル・パワー・トレインズ(RBPT)」を技術面でサポートするという裏方の立場として、ホンダは今年もF1に携わっている。
オールホンダで世界一に辿り着いた技術者たちの火は消えていないのだ。
■激しい王者争いをしていた2021年は無念の開催断念
2021年はようやくホンダのパワーユニットが強くなり、王者メルセデスF1とチャンピオンシップを激しく争い、日本人F1ドライバー角田裕毅(アルファタウリ)がデビューした年、そしてホンダF1最終年ということもあり、日本のF1ファンはF1日本GP開催を待ち望んでいた。しかし、新型コロナウイルスの影響により世界中を転戦するF1チームが短期間のうちに日本へ入国することが厳しい事情もあり、F1日本GPは2年連続で開催されなかった。
結果的に、2021年シーズンはレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが初のF1ドライバーズチャンピオンを獲得、コンストラクターズタイトルは逃したものの、ホンダF1にとっては1991年のアイルトン・セナ以来となる30年ぶりの栄冠だった。
しかし2022年5月、岸田総理大臣が訪問先のイギリスで、6月には他のG7(主要7か国)並みに円滑な入国が可能となるよう緩和する方針を表明しており、政府が具体的な協議を進めている最中だ。こうした情勢から、F1日本GP開催も現実味を帯びてきている。
■鈴鹿サーキット開場60周年、「日本のモータースポーツ振興に寄与」
開場60周年を迎えた鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)にて、10月7日~9日にかけて開催される「2022 FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)シリーズ 日本グランプリレース」のタイトルスポンサーにホンダが決定したことにより、2022年の日本GPの正式名称は「2022 FIA F1世界選手権シリーズ Honda日本グランプリレース」となる。
本田技研工業株式会社の執行職でありコーポレートコミュニケーション統括部長の渡辺康治は次のようにコメントを発表した。
「今年で開場60周年を迎える鈴鹿サーキットで開催されるF1日本グランプリレースのタイトルスポンサーが、このたびHondaに決定したことを大変嬉しく思います」
「この大会では、Hondaがチームパートナーを務めるオラクル・レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリをはじめとする10チーム、そしてHondaのドライバー育成プログラムHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)出身で初の母国凱旋レースを迎える角田裕毅選手を含む20名のドライバーが世界最高峰の走りを披露します」
「そのような素晴らしい大会に貢献することで、日本におけるモータースポーツのさらなる振興に寄与してまいります」。
表舞台から撤退したホンダとしても、日本のF1ファンの前で世界一になったホンダ・サウンドを聞いてもらえる絶好の機会となる。
■チケット販売は7月下旬
気になるチケット販売だが、鈴鹿サーキットによると、チケット販売の案内は6月上旬、一般販売開始は7月下旬を予定しているという。
今年は、F1日本GP開催が期待できそうだ。