ウィリアムズのチームCEOが、これからもニコラス・ラティフィを全面的にサポートしていくと主張した。
■F1復帰のアルボンに一度も勝てず
2020年にウィリアムズでF1デビューを飾った26歳のカナダ人ドライバーであるラティフィだが、3年目のF1シーズンである今年もいまだポイントを獲得することができず、現時点ではドライバーズランキング最下位に位置している。
しかも、ここまでに行われた4レースでは、今年2年ぶりにF1復帰したチームメートのアレクサンダー・アルボンに予選、決勝を通じて一度も勝つことができていない。
こうした中、ウィリアムズが今季終了を待たずにラティフィを解雇し、そのシートにほかのドライバーを座らせる可能性もあるとの噂がささやかれるようになってきている。
しかし、ラティフィには父親がオーナーを務めるカナダ有数の食品会社ソフィーナ・フーズが後ろ盾としてついており、ウィリアムズが多額のスポンサーマネーを持ち込むラティフィとの契約を解除するとは考えにくい側面もある。
だが、2021年のF2チャンピオンであるオスカー・ピアストリを契約下に置くアルピーヌが、ピアストリにF1デビューのチャンスを与えるために他チームにレンタル移籍を申し入れており、ウィリアムズがこれを真剣に検討しているようだとの噂もささやかれている。
実際のところ、ウィリアムズのCEO兼チーム代表を務めるヨースト・カピートは、ラティフィがかなり自信を失っているのは事実だと認めつつも、チームとして今後も全面的にサポートしていくつもりだと語り、こうした噂を否定している。
「もちろん。心理戦のようなものだからね」
「彼はとても速く走ることができるし、適切な場所にさえいればアレックス(アルボン)と同じラップタイムを出すこともできるはずなんだ。今年のマシンは昨年よりも少し難しく、扱いづらくになっているから、彼はそれを理解しなければならない」
「彼はチームから全面的なサポートを受けているし、我々は彼がそこにたどり着けると確信しているよ」
■ラティフィが自信を失った原因はSNS上の脅迫か
そう語ったカピートは、ラティフィが自信を失った原因は、2021年のF1最終戦アブダビGP決勝終盤にセーフティカー導入のきっかけとなったクラッシュを演じてしまったことに対する世間の反応だったのだと考えている。
そのクラッシュをきっかけに、それまで圧倒的なリードを築いていたルイス・ハミルトン(メルセデス)がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に最終ラップで逆転されてタイトルの行方が決まるという劇的な展開となった昨年の最終戦だが、ラティフィのソーシャルメディアには殺害予告なども書き込まれるという事態となっていた。
「昨年、彼に最も影響を与えたのはソーシャルメディア上のコメントや脅迫だったと私は思っている」
そう語ったカピートは次のように付け加えた。
「我々は彼の自信を高めようとしているし、彼と一緒に取り組んでいる。そして、彼はだんだんよくなりつつあると私は思っているよ」