いよいよ今週末には2022年のF1開幕戦であるバーレーンGP(20日決勝)が開催される。
現時点では、このレースでどういう序列が形成されることになるかはいまひとつ明らかになっておらず、そこに世界中のファンが注目することになるのは間違いないだろう。
とは言え、F1関係者の中には、どのチームがトップとなるかはわからないものの、最後尾となるチームはわかっていると考えている者が少なくないようだ。そして、そのチームとはイギリスの名門プライベートF1チームであるウィリアムズだ。
ウィリアムズは昨年まで所属していたジョージ・ラッセルがメルセデスに昇格したことで、今年はその後任としてレッドブルの契約下にあるアレクサンダー・アルボンの起用を決定。イギリス生まれのタイ国籍ドライバーであるアルボンは、2020年からウィリアムズのドライバーを務めているカナダ人ドライバーのニコラス・ラティフィとコンビを組んで今シーズンを戦うことになっている。
だが、そのウィリアムズは、バルセロナで2月に行われた最初のプレシーズンテストでは中団に位置していたものの、バーレーンで先週行われた2回目のプレシーズンテストでは3日間を通じての最速タイムでは全チーム中最下位に沈んでしまっている。
正確に言えば、バーレーンでのテスト初日に走行したハースのピエトロ・フィッティパルディ(リザーブドライバー)の名前が順位表の一番下に記されてはいるものの、その後ハースは2022年のフルタイムドライバーであるケビン・マグヌッセンとミック・シューマッハがいずれも速さを示しており、事実上ウィリアムズが2台揃って最後尾に位置しているのは確かだ。
ウィリアムズのチームCEOを務めるヨースト・カピートは、2022年シーズン開幕に向けて出遅れてしまったのは、ウィリアムズが昨年行われた2022年用18インチタイヤテストに参加していなかったのが大きな原因だと考えている。
「我々はもっと多くを学ぶために最初のレースに臨むことになる」
「タイヤに関して非常に多くのことを学ぶ必要がある。それが我々にとって最も重要なことだ」
ドイツのテレビ局『RTL』にそう語った63歳のカピートは、ウィリアムズは「タイヤのデータが不足していることにより、非常に不利な状況に置かれている」と認めている。
とは言え、2022年に導入された新技術レギュレーションにより、これまでよりもF1チームたちの差が接近しているのも事実だ。とりわけ、中団に位置するチームの差は非常にタイトなものになると考えられている。そして、ウィリアムズにももちろん形勢を逆転するチャンスは大いにありそうだ。
「コンセプトやレギュレーションの解釈は非常に多くの違いがある。そして、それらが多くの異なるサーキットで異なる影響を与える可能性があるんだ」
カピートはそう語ると、次のように付け加えた。
「だから、中団では確固たる序列が形成されないこともありえるよ」
カピートはさらに、今年のF1マシンにシャシー自体がダウンフォースを発生させるグラウンドエフェクトカーのコンセプトが取り入れられたことで、結果として多くのチームが「ポーポイズ現象」と呼ばれる症状に悩まされていることも、シーズン序盤の展開に大きな影響を及ぼす可能性もあると考えている。
F1関係者の間では「バウンシング」と呼ばれることが多い「ポーポイズ現象」だが、これは高速走行時にマシンが上下に何度も大きく弾んでしまうことだ。
「それが我々にとっていいことなのか、あるいは悪いことなのか、それはまだわからない」
そう語ったカピートは、「遅くてもバウンシングしないマシンの方がいいのか、あるいは速いがバウンシングするマシンの方がよいのか」が悩ましいところだと付け加えている。