コース上でのバトルやオーバーテイクを増やすために空力レギュレーションが大きく変更された2022年のF1マシンだが、一部のF1ドライバーからは、逆にオーバーテイクがもっと難しくなるかもしれないとの声が聞こえてきている。
先週にはスペインのバルセロナで3日間にわたって今年最初のF1プレシーズンテストが行われたが、そこではシャシー自体がダウンフォースを発生するグラウンドエフェクトマシンとなった2022年のF1マシンは、確かに前を走るほかのマシンに接近するのはこれまでよりも簡単になることが認められたようだ。
だが、今年メルセデスからアルファロメオに移籍したフィンランド人ドライバーのバルテリ・ボッタスによれば、“スリップストリーム”の効果は逆にこれまでよりも小さくなっているという。
「ほかのドライバーたちとも話をしたんだけど、彼らはスリップストリーム効果は小さくなったと言っているよ」
そう語った32歳のボッタスは次のように付け加えた。
「だけど、僕は(リア)ウイングの幅が増えたことでDRS(空気抵抗低減システム)の効果はより大きくなるだろうとも考えているんだ。だから、それで埋め合わせできるかもしれないよ」
そのボッタスの後任として今年からメルセデスでルイス・ハミルトンのチームメートを務めることになったジョージ・ラッセル(メルセデス)は、実際に2022年型マシンがほかのマシンの後ろでどういう挙動を示すのかを学ぶために、バルセロナのテストではランド・ノリスが操るマクラーレンF1マシンの後ろを走ってみたという。
「より接近して追いかけることができるよ。だけど、実際のところスリップストリーム効果は間違いなく小さくなっているよ」
24歳のイギリス人ドライバーはそう語ると次のように付け加えた。
「僕はランドのすぐ後ろについたんだ。僕はマシン1台分もしくは2台分ランドの後ろにいたんだけどストレートでとらえられなかった。だから、そこは少し気になったよ」
マクラーレンのノリスも、新しい空力レギュレーションによる効果には「いい点と悪い点がある」と認め、次のように語っている。
「今のところ、どちらの効果が大きいかは分からないよ。だから、最初のレースまでは様子を見ないとね」