アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、7月にオーストリアのレッドブルリンクで無観客F1レースが開催されるのは間違いないだろうと考えている。
F1は新型コロナウイルス問題によりストップしているレースをなんとか再開させようと試みており、現時点では7月5日にオーストリアGPを行い、その翌週には同じレッドブルリンクでまたレースを開催する計画を進めている。そして、これらのレースはいずれも無観客で行われることになる。
だが、その実現に向けてはまだいくつかの課題が残されている。
例えば、イギリスのボリス・ジョンソン首相は国をまたいで旅行をする者は全員2週間にわたる隔離期間を置かなくてはならないとの声明を出している。
現在スポーツ関係者を除外することについての話し合いも続けられていると報じられているが、それが認められなければイギリスにいる多くのF1チーム関係者がオーストリアに出向くことは難しくなりそうだ。
さらに、ドライバーの保険問題にも影響が及ぶ可能性があると指摘されている。
F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトによれば、ヨーロッパではトップクラスだと目されている3人のウイルス学者と話をしたものの、その全員がレースの前後にそれぞれ厳密な隔離期間を設けることが必要だとの意見だったという。
シルトは、もしドライバーたちがその助言に従わなければ、それは「彼らが加入している保険規約に抵触する可能性があり、そうなれば彼らがレースをすることが法的に認められなくなる」ことも考えられるとしている。
こうした中、オーストリア出身のトストはドイツの『Suddeutsche Zeitung(ズードイチュ・ツァイトゥング)』紙に次のように語った。
「我々が(レッドブルリンクのある)シュピールベルクに行くことにワインを1本賭けてもいいよ」
「今計画されている“一時的変更”は完全に正しい手順だよ」
F1では、オーストリアの次はイギリスのシルバーストン・サーキットでも同様に2週連続で無観客レースを開催することを視野に入れていると伝えられている。
現在F1ドライバーたちによる任意団体であるGPDA(Grand Prix Drivers Association)の会長を務めている元F1ドライバーのアレキサンダー・ブルツは、最近フェラーリのセバスチャン・ベッテルなどと共にF1首脳部たちとの電話会議を行ったことを明かし、ドライバーたちも現在F1が進めようとしている計画を支持していると認めている。
「F1はさまざまな国の政策に従うことになる」
母国オーストリアの『Kurier(クリヤー)』紙にそう語ったブルツは次のように付け加えた。
「だが、私に言えることは、F1が直接判断すべきエリアに関してはここまでのところ注意深く進められてきているということだ」