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【ホンダF1特集:パート1/5】マクラーレンの御家騒動

2020年01月01日(水)0:02 am

このホンダF1特集では5つのパートに分けてホンダの“第4期”F1活動のここまでの経緯を振り返ってみる。

■【パート1/5】マクラーレンの御家騒動

コンストラクターズタイトル8回、ドライバーズタイトル12回の獲得記録を持つ名門F1チームのマクラーレンだが、2008年にルイス・ハミルトンがドライバーズタイトルを獲得して以降はタイトルに手が届かない期間が続いていた。

さらに、かつてマクラーレンにワークスエンジンを供給していたメルセデスが自らのワークスチームを立ち上げたこともあり、マクラーレン最高権威の座にあったロン・デニスはタイトルを勝ち取るには「ワークスエンジンが必要だ」との考えから、2015年よりホンダをワークスエンジンサプライヤーとして迎えて名門復活を目指すことを2013年に発表。

2014年にハイブリッド方式の“パワーユニット”と呼ばれる新F1レギュレーションが導入されるとメルセデスが圧倒的な力を発揮。そのシーズンをコンストラクターズランキング5位で終えたマクラーレンはトップドライバーのフェルナンド・アロンソを獲得し、翌年から始まるホンダとのコラボレーションに期待を膨らませていた。

だが、そのプロジェクト初年度となった2015年はホンダパワーユニットが予想以上の不振に見舞われ、チームのランキングも9位にまで転落してしまう。翌2016年はランキング6位にまで浮上したものの、チームは中団グループから抜け出せる状況ではまったくなかった。

本来であれば、こうした状況だからこそチーム全体が一丸となることが必要なのだが、現実はそうではなかった。

チームの低迷が続く中、デニスは最も近い関係だったビジネスパートナーのひとりであるマンスール・オジェやバーレーン国営ファンドを中心とする株主たちからの支援を失い、2016年シーズンを最後にマクラーレンとロン・デニスは決別。その後マクラーレンはモータースポーツのマーケティングに携わっていたアメリカ人のザック・ブラウンを新リーダーに迎え、組織改革を進めていった。

かつては「モチベーション」、そしてロン・デニスの忘れられない物言いの“ロンスピーク”が生み出したとしている専門用語「最適化」がF1で勝つための模範であったが、マクラーレンではすべてがうまくいかなかった。本来、一致団結して戦わなくてはならなかったマクラーレンとホンダだが、マクラーレンの御家騒動のもとで基盤がうまく形成できなかったのは想像に難くない。ホンダにとっては、これが不運な背景のひとつとなったのは確かだろう。

(文:Andrew Maitland/翻訳・編集:トップニュース編集部)

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