先週末に行われたF1カナダGPで競技委員を務めていた人物が、レース後の行為を理由としてセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にさらなるペナルティーを与えることはないと語った。
■多くの疑問が噴出したベッテルへのペナルティー
モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで行われたカナダGP決勝ではルイス・ハミルトン(メルセデス)の走行を妨害したとしてベッテルに5秒加算ペナルティーが与えられたことにより2番手でチェッカーフラッグを受けたハミルトンが優勝となった。
このベッテルに対するペナルティーに関しては、ファンばかりでなく、元F1ドライバーたちからも批判的なコメントが相次ぐ状態となっている。
カナダでは元F1ドライバーのエマニュエル・ピロとともに、ゲルト・エンザー、マチュー・レメリーがFIA(国際自動車連盟)のF1競技委員を務めていた。
■あのペナルティーは最小限のものだったと競技委員
このうちエンザーは、自分たちの裁定に対して批判の声が多いことを受けてオーストリアの『Kleine Zeitung(クライネ・ツァイトゥング)』に次のように語った。
「本当なら10秒もしくは20秒、あるいはストップ・アンド・ゴーのペナルティーでもおかしくなかったんだ」
「5秒のペナルティーはあのような違反に対しては最小限のものだよ」
■レース後のベッテルの行為は不問に
カナダGP決勝終了後には、ペナルティーを受けて感情的になったベッテルがレース直後のインタビューをボイコットし、ハミルトンのマシンの前に置かれた1位を表すボードを2位のボードと入れ替えるなどの行為を行っていた。
だが、エンザーは、そのことを理由としてベッテルにさらに厳しいペナルティーを科すことはないと次のように語った。
「そうした事件があったことは我々にも伝えられた。だが、それは強いプレッシャーを受けていたベッテルの感情が高ぶったことによるものだと我々は考えており、それ以上のペナルティーを科すつもりはない」
■ペナルティーにはこうした騒動もつきもの
一方、レメリーもベッテルへのペナルティーは正当なものだったと母国ベルギーの通信社『Sporza(スポルザ)』に次のように語った。
「それはルールに定められている。そして、我々はルールを適用するためにここにいるんだ」
「ルールを調整する必要があるかどうかについての話し合いはもちろん行われたよ」
「モータースポーツに情熱を傾ける者としては、当然私も素晴らしいレースを見たいと思っている。場合によってはレビュレーション通りに適応するのは行き過ぎとなるケースもあるかもしれない」
「10年から20年前のモータースポーツと比べてみれば、多くのことが改善されてきている。だが、それは常にチームたちが自ら主導してきたものだ」
そう語ったレメリーだが、カナダGP決勝でベッテルに与えたペナルティーがこれほどメディアの注目を集めることになったのは「少しばかりショックだった」と認めつつ、次のように付け加えた。
「特定の決定に関しては常に騒動が伴うものだよ」