イタリア出身の元F1ドライバーであるアレックス・ザナルディは、もはやセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が2018年のF1チャンピオンとなる可能性は消えたと考えている。
●【正式:決勝レース結果】2018年F1第15戦シンガポールGP決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■シンガポールで「すべてが変わった」
かつて2度CARTチャンピオンに輝いたことで知られるザナルディは、先週末に行われたF1第15戦シンガポールGPでベッテルが優勝を逃したことで「すべてが変わってしまった」と『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に語り、次のように続けた。
「ひとつのレースに過ぎなかったかもしれないが、あれは今シーズンの状況を反映するものだったよ」
「モンツァ(第14戦イタリアGP)の後では、誰もが次に勝利すればまたいい方向へと向かうだろうという印象を持っていたんだ。だが、ルイス(ハミルトン)が完ぺきな、もはや詩的とも言えるほどのパフォーマンスでみんなをたたきのめしてしまった」
「セブ(ベッテルの愛称)の顔を見れば、ここで力関係が変わったのは明らかだった」
「数字的には、フェラーリもまだ可能性を信じることはできる。だが、現実に目を向ければ、今支配しているのはハミルトンだよ」
■残り6レース全勝が求められるベッテル
確かに、もしシンガポールでベッテルが優勝し、勝利数をハミルトンと並ぶ6勝にすることができていれば、仮にハミルトンが2位となったとしてもポイント差は23に縮まり、今後の展開によっては十分にベッテルにも逆転のチャンスはあっただろう。
だが、シンガポールでハミルトンが優勝し、ベッテルが3位に終わったことから両者のポイント差は40に拡大。数字的には残りの6レースすべてで優勝することができればハミルトンの結果いかんにかかわらずベッテルがタイトルを手にすることができる。とは言え、ここ数戦の戦いぶりを見れば、ハミルトンが今後1勝もできずに終わるとは考えにくい状況だ。
そんな中、イタリアのメディアによる報道にも絶望的な響きが強くなってきている。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は「ベッテルのタイトルにさようなら」と書き、さらに次のように付け加えている。
「昨年と似てはいるが、もっと悲しい状況だ。今年はフェラーリが最高のクルマを手にしているのに、ドライバーが最高ではないからだ」