レッドブルが新たにテクニカルディレクターというポジションを設けたことが明らかとなった。
その肩書が与えられるのは、これまでレッドブルでチーフエンジニアとしてパフォーマンスエンジニアリングの責任者を務めていたフランス人技術者のピエール・ヴァッシェだ。
通常、F1チームのテクニカルディレクターといえば最高技術責任者ということになる。だが、レッドブルの場合は天才F1カー設計者との定評を得ているエイドリアン・ニューイがチーフテクニカルオフィサーを務めており、ヴァッシェは形の上ではニューイの下に位置することになるようだ。
新たにテクニカルディレクターに就任したヴァッシェは、母国フランスの『L’Equipe(レキップ)』に次のように語った。
「エイドリアンはこれまでずっと空力の方に注力していた。一方で私はパワーを路面に伝達することに取り組んでいる」
「今回のポストが自分にとってどういう意味を持つのか、そしてリスクもあるということは私も理解している。それを恐れてはいないが、結果が求められるということは分かっている。そして私は自分が彼らに(好結果を)提供できるということを示したいと思っているよ」
現在43歳のヴァッシェは、かつてF1公式タイヤサプライヤーであったフランスのタイヤメーカー、ミシュランで技術者を務めていた。そのミシュランが2006年にF1を撤退したのを機にヴァッシェはBMWザウバーにヴィークルパフォーマンスエンジニアとしてスカウトされ、さらに2013年にレッドブルに迎え入れられていた。
一方、現在59歳のニューイは、数年前からF1マシン設計の第一線からは退き、どちらかといえばアドバイザー的な立場でレッドブルの技術チームにかかわっていることが知られている。
ニューイがこれまで通り最高技術責任者の地位にとどまるものの、レッドブルがヴァッシェをテクニカルディレクターに指名したということは、チーム内におけるマシン設計・製造に関する責任の所在をより明確にしようとする狙いがあるのかもしれない。