先週末にバクーで開催されたF1アゼルバイジャンGP決勝で起きたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のクラッシュに関する話題が依然としてメディアをにぎわせている。
【動画:問題のシーン公開】ベッテル「いつ危険なドライビングをした?」/F1アゼルバイジャンGP
セーフティカー先導中に、先頭を走行していたハミルトンがコーナーの立ち上がりで減速し、その後ろを走行していたベッテルが追突するという事故が発生。
■ハミルトンの挑発行為にわれを忘れたベッテル
このときベッテルはハミルトンがわざとブレーキをかけて自分を挑発したのだと考え、自分のクルマをハミルトンに並べると腕を上げて抗議の意思表示をするとともに急にステアリングを切ってハミルトンのクルマに故意に自分のクルマをぶつけたように見えた。
その後、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)の競技委員はベッテルに対してペナルティーとして10秒間のストップ・アンド・ゴーを命じていた。
だが、ベッテルはレース後にそのクラッシュに関しては一言も語らず、ただハミルトンが自分に対して「ブレーキテスト」と呼ばれる行為をしたのだと非難の言葉を口にするだけだった。
だが、最近FIAがベッテルを国際スポーツ裁判所に召喚し、事情聴取を行った上でさらに重い罰則を与えることになりそうだとのうわさもささやかれている。
■もっと重い罰が必要だとクリエン
元F1ドライバーのクリスチャン・クリエンは、この一件に関して母国オーストリアのテレビ局『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語った。
「ハミルトンの行為が(ベッテルに対する)挑発であったのは確かだ。だが、ベッテルは本当にスポーツマンらしからぬ形で取り乱してしまった」
「あのときのペナルティーは、スポーツマンらしからぬ行為だと思えることに対してあまりにも寛容過ぎたよ」
■ベッテルの行為は理解に苦しむとブリアトーレ
かつてベネトンやルノーのチーム代表を務めていたフラビオ・ブリアトーレも同意見だ。
「ベッテルは変なことをしてしまったし、実際あれは理解できないものだった」
イタリア放送協会『RAI』にそう語ったブリアトーレは、次のように付け加えた。
「ハミルトンが減速したのは事実だ。だが、なぜベッテルがハミルトンのクルマに向けてハンドルを切ったのかは分からない」
■偶発の可能性もあるとサロ
なぜベッテルがハミルトンに自分のクルマをぶつけたのかという疑問については、別の説もある。それはベッテルにはそうする意図はなかったものの、偶発的にああした事故が起きてしまったのではないかというものだ。
フィンランド出身の元F1ドライバーであり、時折FIAの委託を受けてF1競技委員を務めることもあるミカ・サロは、ベッテルはハミルトンに抗議するために腕を上げていたが、そのときに何かの拍子に腕がステアリングに当たってしまい、それであの事故が起きた可能性もあると考えている。
「僕には、彼のステアリングホイールが意図しない動きをしたように見えたんだ」
『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に対してそう語ったサロは、次のように付け加えた。
「だけど、ベッテルがときどき過剰反応を示すのも事実だけどね」
■ベッテルの反応も理解できるとヒュルケンベルグ
この件についての質問を受けたルノーのニコ・ヒュルケンベルグは、ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に次のように語っている。
「僕は罰とベッテルの反応に関してどちらも理解できるよ」
「もし彼(ベッテル)のことを知っていれば、彼がレース中にすごく感情的になることがあることも分かるはずだ。ルイスがやったことは怪しかったけれど、セバスチャンはああいう形で反応すべきではなかったね」
そうコメントしたヒュルケンベルグは、次のように付け加えた。
「だけど、レーシングドライバーにはときとして感情が爆発することもあるものだし、戦いの真っただ中にはこういうことが起きることもあるさ」