今季のF1開幕戦オーストラリアGPは、セバスチャン・ベッテルが駆る赤いフェラーリが先頭でチェッカーフラッグを受けた。
だが、F1関係者の中には、フェラーリがこのままリードしていくだろうと考えている者もいれば、まだ分からないと考えている者もいるようだ。
元F1ドライバーのジャン・アレジは、かつて自身が所属していたフェラーリがついに今季はF1タイトルを狙えるところにまで来たと考えている。
1991年から5年間フェラーリに在籍していたアレジは、最後の年となった1995年にF1キャリア唯一の勝利をカナダGPであげている。
■今年はフェラーリがリードするはず
フランス出身の52歳となるアレジは、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。
「新しいレギュレーションとなってどうなるのか予想がつかなかった。メルセデスAMG、あるいはレッドブルが何をやってくるのかということがまったく分からなかったからね」
「だが、オーストラリアGP(開幕戦)を終え、私はフェラーリが中国(4月9日決勝)でもいいパフォーマンスを発揮するだろうと予想しているよ。レースではベッテルが驚くほど楽々とハミルトン(メルセデスAMG)についていくことができていた。一方、ハミルトンはベッテルを追いかけるチャンスさえなかった」
「クルマが最初からよく仕上がっていれば、開発も楽になるものなんだ」
■メルセデスとレッドブルも反撃に転ずるはず
一方、アレジとは違う見方をしている者もいる。その1人は、かつてベネトンやルノーのチーム代表を務めていたフラビオ・ブリアトーレだ。
ブリアトーレは、フェラーリが間違いなく今季のタイトルを狙えると考えるのはまだ少し早すぎると次のように語った。
「中国でもっとはっきりしたことが見えてくるだろうね」
「フェラーリの勝利は素晴らしいものだった。だが、メルボルン(アルバート・パーク・サーキット)は特別なサーキットだし、レッドブルとメルセデスAMGも何か大きなことをやってくるだろうと見ているよ」
「三つどもえのタイトル争いが展開されれば、それが理想的だね」
■ライバルの後退がメルボルンの結果を生んだ
また、やはり1992年にフェラーリのドライバーを務めたことがあるイタリア出身の元F1ドライバーであるイヴァン・カペリも、メルボルンで行われた開幕戦で勝利したとはいえ、まだフェラーリは安心できないと次のように語っている。
「私は、あの勝利はかなりの部分でメルセデスAMGとレッドブルがサスペンションを旧型のものにしていたことが大きく関係したと思っているよ」
カペリが言及しているのは、今シーズン前に違法ではないかと懸念の声があがっていた「トリック・サスペンション」と呼ばれるシステムをメルセデスAMGとレッドブルのどちらもが実戦に投入しなかったという事実だ。
■これからが本当の開発競争
さらに、かつてトヨタやルノーで活躍したイタリア人元F1ドライバーのヤルノ・トゥルーリも、シーズンが展開していくにつれてトップチームの力関係が変わってくることも十分に考えられると次のように語った。
「フェラーリは最初にいい位置につけた。だけど、トップ3チームはみんな、シーズンを通じて効果的な開発を行うために必要とされるすべてのリソースを備えているよ」