2014年までマルシャ(現マノー)でF1ドライバーとして活躍していたマックス・チルトンが、2016年には名門チップ・ガナッシからインディカーにフル参戦することになった。
マルシャの経営破たんとともにF1シートを失い、その後アメリカに活躍の場を求めたチルトンは2015年にはインディカーの下位カテゴリーであるインディライツに参戦。そして、今年はついにアメリカの最高峰フォーミュラカーレースであるインディカーへの切符を手に入れた。
■今もビアンキの事故映像は見られない
しかし、24歳のイギリス人ドライバーであるチルトンは、2014年にチームメートだったジュール・ビアンキが鈴鹿サーキットで行われたF1日本GP決勝で起こした大事故のショックをいまだに引きずっているという。
ビアンキの事故発生時の映像をいまだに「見ることができない」と語ったチルトンは、イギリスの『Sun(サン)』に次のように続けた。
「ジュールの死には大きな打撃を受けたよ」
「僕たちのクルマは最も性能の低いものだったし、ダウンフォースもわずかしかなかった。僕もあのコーナーではヒヤっとする場面があったんだ。僕たちはどちらがあの事故に遭ってもおかしくなかったよ」
■アメリカではジャスティン・ウィルソンの死にも遭遇
今年はインディカーにフル参戦することになるものの、昨年はそのインディカーでも同じイギリス出身のジャスティン・ウィルソンが他車の破片の直撃を受けて死亡する事故が起きていた。
「僕が(インディカーをやろうという)決断をしようとしていたまさにそのときにジャスティンの悲惨な事故が起きてしまったんだ。それによって決断することが10倍も難しくなった」
「だけど、僕は自分に言い聞かせ続けていたんだ。こういうことはいつだって起こる可能性があるものだってね。あれはジュールのときと同じで、すごくまれな事故だったよ」
■トップチームでのインディカーデビューに期待
そう語ったチルトンだが、今年トップチームのチップ・ガナッシ・レーシングの一員としてインディカーで戦うことを楽しみにしているのは確かだ。
「すごくワクワクしているよ。こういうことになるとは思ってもいなかったけどね。ほかの99パーセントのドライバーたちと同じように、僕の目標は常にF1だった」
そう語ったチルトンは、次のように付け加えた。
「僕はそのころ、自分は決してインディカーでレースをすることはないだろうし、魅力も感じないと言ったことを覚えているよ。だけど、決してなどという言葉を使うべきではなかったね。人生は変化するものさ」