NEXT...F1開催スケジュール

政治情勢とビアンキの事故が影を落とすロシアGP

2014年10月09日(木)16:52 pm

F1は先週末F1日本GP(第15戦)が行われた鈴鹿から約8,000km離れたソチに移動し、F1ロシアGP(12日決勝)の開催準備に取り掛かっている。だが、F1関係者には、このロシアで初となるF1レース開催を祝うような気持ちになれないでいるようだ。

それは、ウクライナ情勢により世界中からロシアに非難が集中している状況下でF1レースを開催することに批判があることや、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンがロシアGPに顔を出す予定だと言われているためばかりではない。

■開催に疑問を呈す放送関係者

政治的側面に関しては、ドイツの放送局『RTL』の広報担当者が、母国ドイツの『Welt(ヴェルト)』紙に次のように語り、ロシアGP開催強行に疑問を抱いていることを明らかにしている。

「我々放送業界の間にはボイコットすべきだとの声はあがってこなかった。なぜなら我々は契約に従うしかないからだ」

「だが、それでも我々はプレゼンテーションにおいて問題を提起するつもりだし、サーキットに来た人たちには、今の状況に対してどう感じているかを尋ねるつもりだ」

F1の商業権を統括するバーニー・エクレストンは、F1がロシアで初めてレースを開催することと、ロシアの政治情勢を混同するべきではないと常に主張し続けてきている。

■前向きにとらえるべきとの意見も

これに関しては、元F1チャンピオンであるフィンランドのミカ・ハッキネンも同様の意見を持っている。

「政治的な面で、自分の立場を明確にするつもりはない」

自身のスポンサーである『Hermes(エルメス)』のインタビューにそう語ったハッキネンは、次のように続けた。

「だが、F1やモータースポーツのことを考えたとき、私の意見だが、ロシアでレースをするということに関しては前向きにとらえるべきだと思っている。新しい国、新しい市場を開拓することに対してね」

かつてアブダビのレース主催責任者であったリチャード・クレーガンは、現在ソチのレース運営組織を監修する立場にある。クレーガンは、ロシアの政治情勢によってほんの数週間前までは、初開催となるロシアGPのチケット販売にも影響が及んでいたと語った。

「制裁措置や、その他もろもろのことに関して多くの議論が行われていた。ところが、突然我々のレースとの関連においては、それらがもはや過去のものとなったような状況になったんだ。それからは1日に500から800枚ほどのチケットが売れているよ」

■尾を引くビアンキの事故

クレーガンはさらに、鈴鹿で起きたジュール・ビアンキ(マルシャ)のクラッシュがロシアでのF1レース初開催の上に影を落とすことになったと認めている。

「それは確かだ」と語ったクレーガンは『Telegraph(テレグラフ)』に次のように続けた。

「我々は、安全性の改善を進めることを決してやめてはならない。我々はすべてのことから学んでいるところだ」

ビアンキの事故でショックを受けたのはレース主催者側だけではない。F1チームもそれ以上のショックを受けている。

F1グランプリが開催時には、これまで常に陽気な雰囲気のレース前記者会見を行っていたザウバーだが、ソチではその実施を見送ることになった。チーム代表のモニシャ・カルテンボーンは、ザウバーでもソチでは「非常に暗い雰囲気で」準備が進められていると認めている。

「私たちはまだ先週末の(ビアンキの)事故のショックから抜け出せていません。まだ平然と日常の業務に取り掛かれるような状態ではないんです。今現在進めていることすべてにあまり意味が見いだせなくなっています」とカルテンボーンは語った。

それでも、F1は前へ向かって歩み続けることになる。その第一歩がロシアで今週末に踏み出されるが、ケータハムは小林可夢偉がロシアでもレースドライバーを務めること、そしてスペイン人若手ドライバーのロベルト・メルヒが今回もまた金曜フリー走行1回目を担当することを発表している。

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック