元F1チャンピオンを含む2人の元F1ドライバーたちが、史上最年少での4連覇を賭けて2013年シーズンに挑むセバスチャン・ベッテル(レッドブル)の才能が果たしてライバルたちと並ぶほどのものなのか疑問を呈した。
その2名のうちひとりは、元レッドブルのドライバーで、2008年末にベッテルが姉妹チームのトロ・ロッソからレッドブルに昇格したためにシートを失い、そのままF1を引退したデビッド・クルサードだ。ベッテルの強さを支えるクルマの設計者で“空力の魔術師”と呼ばれるエイドリアン・ニューイをレッドブルに招いた立役者でもあるクルサードは、ベッテルが「素晴らしい」ドライバーであるか否かの結論が出たとして、『Guardian(ガーディアン)』のコラムにこうつづった。
「ベッテルは伝説になるためにチームを移るべきか? 私はそうするべきだと思う」
ベッテルがレッドブルと2016年シーズンまで契約を更新したと報じられる中、クルサードは次のように続けている。「セブ(ベッテルの愛称)はいいドライバーで、世界レベルのドライバーだ。しかし、ほかのチームの経験や、ワールドチャンピオン経験者のチームメートとの関係など、乗り越えたことのない壁がある」
「魔法のじゅうたんに乗っているようなものだ。そんなもの誰も見たいとは思わない。見たいのは、人が困難を乗り越える姿なんだ」
ベッテルの強さはクルマと環境に恵まれているおかげだ、とクルサードは遠回しに主張したが、元F1チャンピオンのジャック・ビルヌーブの言葉はもっと直接的だ。
ビルヌーブはドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に、ベッテルは「ものすごく速いが、プレッシャーがかかるとミスをする」と話し、こう続けた。
「先頭を走っているときはすべてうまくやるが、それ以外のときは気持ちのコントロールができていない」
「それこそが、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)やルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)との差だよ。どんなときでも戦っている。順位やクルマの仕上がりに関係なくね。彼らは、常に全力を尽くしているんだ」
「そのレベルの話になると、僕にはベッテルは平々凡々に見えるね」とビルヌーブは締めくくった。