F1レースディレクターを務めるマイケル・マシが、2016年のF1チャンピオンであるニコ・ロズベルグがバクー市街地サーキットには致命的に危険な設計ミスがあると発言したことに対して反論を行った。
F1アゼルバイジャンGPの舞台となるバクー市街地サーキットは非常に長いホームストレートがあることが特徴となっている。だが、ロズベルグはこのホームストレートにおいてF1マシンが時速350kmに到達する地点にピットの入り口が設けられているのは非常に危険だと先週末のレース開幕前に次のように語っていた。
「かなり怖いよ」
「350kmであの地点に達すると、左にピットがある。もしあそこで終わってしまい、350km出ていれば、一巻の終わりだ。もう君はいなくなってしまうよ」
実際のところ、先週末に行われた今季のF1第6戦アゼルバイジャンGP決勝ではホームストレート上でランス・ストロール(アストンマーティン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がいずれも突然のタイヤトラブルによってクラッシュするという事故が発生してしまった。
幸い先週末のアクシデントではドライバーにはけがはなかったものの、F1マシンが何らかの理由で制御不能となった場合、通常の走行ラインをはずれてまっすぐにピット入り口に設けられたバリアに激突する可能性はゼロだとは言えないだろう。
ロズベルグは、バクー市街地のピット入り口のレイアウトは「とんでもない間違い」であり、現在のF1サーキットの中でも最も危険な箇所だと指摘していた。
しかし、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に所属するF1レースディレクターのマシはこのロズベルグのコメントに対して次のような反論を行っている。
「私はあの発言には同意できない」
「ピットの入り口もコース全体もFIAによってグレード1のサーキットとして認証されている。つまり、FIAがレギュレーションで定めた安全性に関する要件をすべて満たしているということだ」
バクー市街地サーキットは近代F1サーキット設計者として知られるヘルマン・ティルケが担当したものだ。このサーキットでは2016年にヨーロッパGPという名称で初めてF1が開催され、2017年からはアゼルバイジャンGPと名称が変更されている。ちなみに、初開催された2016年にはロズベルグがポール・トゥ・ウィンを達成している。
2020年は新型コロナウイルスのパンデミックによって中止となったアゼルバイジャンでのF1だが、今年は無観客レースとして通算5回目のグランプリが開催された。