F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の会長を務めるジャン・トッドは、2021年からよりシンプルなエンジンルール導入を計画しているものの、結局のところフェラーリがF1から去ることはないだろうと考えている。
■フェラーリ会長にも変化の兆し
2017年10月にF1オーナーのリバティ・メディアが中心となってまとめた2021年以降のF1エンジンルール変更や新たな収益金分配モデルの導入、さらにはF1チーム予算に上限値を設けるといった方針を発表した。
だが、これに反対の姿勢を見せたフェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネはそうした計画が修正されない限り自分たちはF1から撤退することになるだろうという脅しをかけていた。
だが、マルキオンネは最近その姿勢を和らげ、フェラーリは今後もF1を続けていくことになるだろうとのコメントを行ったとも報じられている。
■フェラーリとF1は持ちつ持たれつだとトッド
かつてフェラーリのチーム代表を務めていたトッドはスペインのバルセロナでフェラーリについて質問されると次にように答えた。
「フェラーリは象徴的なブランドだ」
「それにはいくつかの理由があるが、そのひとつはこのスポーツ(F1)が彼らにとって非常に重要だからだ。フェラーリはレースで利益を得ており、レースも彼らによって利益を得ている」
「もし我々がいいフォーマットを構築することができれば、彼らも(F1に)興味を抱き続けるだろうと私は確信しているよ」
■F1全体の体質改善が必要
だがトッドは、F1はフェラーリだけで成り立つものでもないと次のように続けた。
「我々は10チームにとって有益なことを行う必要があるんだ。ひとつのチームのためだけではなくてね」
「半分以上のチームが困難な状況に置かれているし、それはモータースポーツの基本的在り方にとってよいことではない。だからこそ、我々はチーム間の格差に関して何らかの手を打つ必要があるんだ」
■MGU-H 廃止はコスト抑制が目的
そして、そうした問題の根幹に位置するのが高額なコスト問題だとトッドは指摘。その問題解決のためにはPU(パワーユニット)と呼ばれる現在のF1エンジンのコストを大きく引き上げる要素となっているMGU-H(熱エネルギー回生システム)を廃止することが好ましいのだとトッドは主張している。
「それは興味深いテクノロジーだ。しかしいい世界選手権とするために絶対に必要なものではない」
そう語ったトッドは次のように付け加えた。
「我々はいろんなことをもっとシンプルにしたいと思っているし、何よりも新しいメーカーの参入を促したいと思っている。我々はエンジンレギュレーションとともに突き進んでいくんだ」