メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、今後の展開によっては自分たちのドライバーに対してチームオーダーを発令することを検討していると認めた。
■方針見直しを迫られているメルセデスAMG
メルセデスAMGではこれまで伝統的にチームオーダーは出さず、所属する2人のドライバーに自由に戦わせるという方針を掲げてきていた。
だが、今季の第11戦として行われた前戦F1ハンガリーGPでの出来事が、これに関しては一定の方向転換が必要だという考えをチーム内に芽生えさせたようだ。
■ハンガリーでボッタスに順位を返したハミルトン
ハンガリーGP決勝では最前列からスタートしたフェラーリのセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンがそのまま1-2体制でレースを引っ張っていた。
メルセデスAMGも予選3番手だったバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトンがその位置をキープしながら走行していたが、終盤にはハミルトンのペースの方がボッタスを上回っていた。
ハミルトンの方がタイトル争いのライバルであるフェラーリをとらえることが可能だと判断したメルセデスAMGは、ここでハミルトンを前に出すようにボッタスに連絡。その際、もしハミルトンがフェラーリを抜けなければ、またもとの順位に戻すと約束をしていたという。
ボッタスの前に出たハミルトンはその後フェラーリを猛追するもわずかに届かず、結局ハミルトンはゴール手前で約束通りボッタスを先行させ、自分は4位でレースを終えていた。
■ベッテルにみすみす3ポイントのアドバンテージを提供
このレースで優勝したベッテルは25ポイントを加え、トータル202ポイントに積み上げた。そのまま3位でフィニッシュしていれば15点を獲得し、ベッテルとの差も11ポイントとなっていたはずのハミルトンだが、ボッタスに3位の座を譲ったことで獲得ポイントが3ポイント減ってしまい、ベッテルとの差は14ポイントに開いてしまった。
この結果に、メルセデスAMGを率いるエグゼクティブディレクターのトト・ヴォルフは、フェラーリが完全にベッテル優先策を取ってきている以上、自分たちの戦略も見直す必要があると『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に語っていた。
■チームオーダーの可能性を示唆したラウダ
現役時代には3度F1王座についた経験を持つラウダはこれまでチームオーダーには反対の立場を取っていることで知られていた。だが、ラウダもさすがに今回は『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように語っている。
「もちろん、今後こういう状況となった場合、どう対応すべきか話し合いを行っているよ」