NEXT...F1開催スケジュール

各F1チームはプレシーズンテストで何をしている?レースで重要なこと、テストの目的とは?

2024年02月22日(木)4:09 am

2024年F1プレシーズンテストがバーレーン国際サーキットで開幕したが、このテストで各チームは何をしているのだろうか?

■新マシンを見極めるため

プレシーズンテストでは新車の基本動作チェック、シミュレーターと実走行の差分の確認などデータ収集を現地で行い、各本拠地ともリアルタイムにデータを共有し、分析を行っていく。そして、狙ったセッティング通りに動いた部分と予想外の動きを確認し、自分のマシン特性を見極めていくことになる。

同時に同条件で走っている他チームの動きを撮影、目視、GPSデータなどを駆使して全チームの実力と自チームの実力を分析して、年間のレース戦略を練っていくことになる。

■ドライバーが慣れるため

2024年は新人ドライバーはいないため、全ドライバーがF1やサーキットには慣れている。しかし、もし新人ドライバーがいれば、限られたテスト時間の中でドライバー本人がF1に慣れなければならないため、チームの仕事は増える場合が多い。チームとしては、マシンを理解するという大きな仕事に加えて、新人ドライバーの育成という仕事も加わるためだ。

レッドブルF1の姉妹チームであるRBは本来、その新人がF1に慣れるためのチームという役割だったが、長年チームを率いてきたフランツ・トストが引退したことで、RBも独立したF1チームとして結果を求められるように変化した。F1の世界では、レーサーとしての純粋な速さを当然必要だが、結果を残せる安定感、自分好みのマシンに仕立て上げるためにエンジニアと対等に話せるだけの技術的知識、そのために必要なチームとのコミュニケーション能力や求心力、そして急成長しながらライバルを驚かせるような新人ドライバーが注目を集めることになる。

2023年だと、デビュー前からアルピーヌとマクラーレンが取り合い、新人ながらスプリント・レースで勝利したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がFIA新人賞を獲得している。能力の高さを証明したピアストリは今後、チームをうまくまとめられれば安定して良い結果を残し続けるだろう。しかし、イギリスチームのマクラーレンには、イギリス人のランド・ノリスという速さと人気を兼ね備えたドライバーがいることも忘れてはならない。チームメイトは最も比較されるライバルでもある。

■レースでは何が重要?

レース戦略で特に重要なのは、空力特性とタイヤだ。タイヤ温度が上がりやすいなら予選は強みとなる。その反面レースではタイヤが熱くなりやすく摩耗しやすい。

空力面では、ストレートとコーナーリング時での変化、単独走行時と他車の後ろを走っている時に乱気流を受けた時の挙動の違いなどを把握し、戦略を練っていく。コーナーリングのスピードを速くするには十分なダウンフォースが必要だが、前後のウィングでそれを増やそうとするとストレート・スピードが落ちてしまう。レッドブルF1が速いのは、下面のアンダーフロアで安定したダウンフォースを十分に生み出しているためだ。

最終的には、コース特性に合わせてストレート・スピードとコーナーリング・スピードのちょうど良い空力バランスを見つけ、タイヤから十分なグリップ力を引き出しつつ、オーバーヒートさせないで最後までタイヤの能力を発揮し続けられる足回りのセッティングをしていく。

■テストの目標は?

マシンのデザイナーはこれらを考慮して設計し、基本性能が高ければ低速でも高速でもセッティングの幅が広く、どこでも速さを発揮できる良いパッケージが出来る。エンジニアがセッティングしやすく、ドライバーが運転しやすくて、速くて快適なクルマを創り出せれば、良い仕事をしたと言われることになる。

そして、ライバルたちより0.001秒でも速く走り、1台でも前でゴールし続け、年間ランキングで上位を獲得することがF1チームの目標だ。

各F1チームのデザイン部門はこの目標に向けてマシンを製作してきたが、テストではセッティングでどこまで挙動を変化させることができるのかを熟知することが大きな目標だ。その結果がタイムとして残ることになる。冬季テストでどんな挙動を見せて、どんなタイムを出すのか注目したい。

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック