ハースF1前代表のギュンター・シュタイナーが解雇されたことで、アンドレッティ・キャデラックが低迷するアメリカのF1チームを買収するのではないかとの憶測が広がっている。
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』では、「ジーン・ハースはF1にうんざりしているのか?」という見出しが躍っている。シュタイナーはクリスマスから新年にかけて、チームの億万長者であるオーナーのジーン・ハース氏から、ハースF1が2023年に最下位に終わった後、契約を延長しないことを告げられたという。
また、ハースとフェラーリは技術的なパートナーシップを再評価する可能性があるため、2026年の新レギュレーションに向けてエンジン契約を結んでいない唯一のチームのようだ。
シュタイナーのニュースが報じられると同時に、フェラーリの重鎮シモーネ・レスタも担当していたハースを去ろうとしていると言われている。
■アンドレッティのF1参戦にチャンス到来?
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』紙のトップジャーナリストであるミハエル・シュミットは、こう疑問に思う。
「ハースは今、買収候補なのだろうか?これはアンドレッティが2025年にF1に参戦するチャンスかもしれない」。
■新代表の小松氏はハースを好転できるか?
シュミットは、知名度の低いジーン・ハース氏とシュタイナーが、中期的な将来像の違いで対立し、チームオーナーは既存の体制に固執し、解任された前代表はより多くの資金提供を主張したと考えている。
シュタイナーの後任は、長年ハースF1でエンジニアを務めてきた小松礼雄(こまつあやお)だ。
「ハースが状況を好転させられなかったらどうなるのか?」とシュミットは不思議に思うという。
「今のところ、ジーン・ハースは自分の投資を回収できるようなチームの売却価格を実現できるだろう」。
■ラルフ・シューマッハ、ハースF1は改善するチャンス
しかし、ハースF1の“常連評論家”であるラルフ・シューマッハは、シュタイナー不在の今こそチームが改善するチャンスだと考えている。
「魚はいつも頭から腐るのさ」とハースF1の元ドライバーであるミック・シューマッハの叔父ラルフは、『Auto Bild(アウト・ビルト)』紙に語っている。
■シュタイナーはチームの株式を要求か
レッドブルのトップコンサルタントであるヘルムート・マルコ博士は、シュタイナーの没落はNetflixの『Drive to Survive(原題)』シリーズによる人気急上昇と関係していると考えている。
「Netflixのようなもので人気が出過ぎた者は、高く舞い上がった後、あっという間に転落してしまうものだ」と彼は『f1-insider.com』に語った。
「私が聞いたのは、彼が自分の人気をチームの株式に換えたがっていたということだけだ。そして、オーナーのジーン・ハースはその考えを好まなかった。個人よりもチームが優先されるのは、このスポーツの常だ」。
■F1でのプレッシャーは残酷
「シュタイナーは人気の犠牲になったんだ」。
アルファタウリの前代表フランツ・トストは、こう付け加えた。
「F1でのプレッシャーは残酷だ。シーズン半ばのマシン開発がうまくいかなければ、誰かのせいになるのさ」。