ハースF1チームの代表を降ろされたギュンター・シュタイナー前代表は、NetflixのF1公式シリーズ番組に出演したことが、ハースのチーム代表を追われることに「一役買った」かもしれないと認めた。
ジーン・ハースが所有する小さなF1チームのハースは、2023年に開発が停滞して最下位に終わったものの、58歳のシュタイナー前代表はそのユニークな個性のおかげで『Drive to Survive(原題)』で高い人気を誇っていた。
ジーン・ハースはクリスマスから新年にかけて、10年前にチーム独自の無駄のない体制づくりに尽力したシュタイナーを電話で更迭した。
■エクレストン「私の時代なら彼が人気になることはなかった」
元F1最高責任者のバーニー・エクレストン氏は、このニュースが報じられた後、「F1でこれほど成功しなかったチーム代表が、米国のドキュメンタリーのおかげでスーパースターになった人はいない」と『f1-insider.com』に語っている。
「パフォーマンスだけが重要だった私の時代には、こんなことはなかった」。
■チーム力以上の人気でスポンサー獲得も
ジーン・ハースは、フェラーリと強力な技術提携を結んでいたにもかかわらず、人気チーム代表とコンストラクターズ選手権で最下位に沈むのが精一杯だったことを「恥ずかしい」と認めている。
『Drive to Survive(邦題:ドライブ・トゥ・サヴァイヴ)』でチーム代表が面白おかしく紹介されたことにハース氏は腹を立てていたのかと尋ねられたシュタイナーは、「おそらくそれも一役買っただろうね」と認めた。
「しかし、ハースがこの人気から多大な恩恵を受けたのは事実だ。このおかげでマネーグラムのようなスポンサーとの接触が可能になった」。
■有名になりたいとは考えていなかった
シュタイナーはまた、Netflixでの人気を背景に『Surviving to Drive(原題)』という本も書いている。
「私にとって有名になることが目的ではなかった。私を知っている人たちは、それが私にとってそれほど重要なことではないことは分かっている。朝起きて有名になろうなんて考えていなかった。仕事に行くために起きていたんだ」と主張する。
■ジーン・ハースに投資不足だなんて責めることはできない
とはいえ、ジーン・ハースは「恥ずかしくなった」ことを認めている。一方でシュタイナーは、チームの問題は投資不足だったのではないかと考えている。
「言葉を選ぶのは人それぞれだ。しかし、バジェットキャップ(予算上限)が導入されたとき、ほとんどのチームはインフラに投資したと言っていいと思う。限られた予算を可能な限り賢く使うということだった」
「私はジーン・ハースを責めることはできない。あるいは責めることもできるが、オーナーである彼が何をしたいかは彼の自由だから、それは何も変わらないだろう。明らかなのは、私の仕事がなければ2020年には終えていたかもしれないということだ」。
シュタイナーは、次の機会が訪れるまで家族と過ごすことを楽しみにしていると語った。