レッドブル・レーシングが新たな挑戦に臨んだ。レッドブルの最速ピットクルーチームは、真っ暗なコンディションでピットストップを完了できるだろうか?
■6シーズン連続で最速のピットストップ賞!
チームは、ピットストップの練習中であれ、実際のレース中であれ、これまでに何千回ものピットストップを行ってきた。
今シーズンのレッドブルのピットクルーがレース中に出したピットストップ最速タイムは、F1ハンガリーGPの1.98秒(セルジオ・ペレス)という驚くべきタイムだった。
チームのピットストップは安定した速さを見せており、6シーズン連続で『DHLファステスト・ピットストップ賞』を受賞している。レースだけではなく、ピットストップでもF1界の勝者だったのだ。
■“暗闇”ピットストップタイム予想
マックス・フェルスタッペン、セルジオ・チェコ・ペレス、チーム代表のクリスチャン・ホーナー、そしてチームの他のメンバーは、この企画に対してピットストップの速さを推測したところ、以下のような予想タイムになった。
2.10秒 ジョナサン・ウィートリー(スポーツ・ディレクター)
2.60秒 クリスチャン・ホーナー代表
3.10秒 ピットクルー予測
3.13秒 ハンナ・シュミッツ(プリンシパル・ストラテジー・エンジニア)
6.69秒 マックス・フェルスタッペン
33.90秒 セルジオ・ペレス
3日 マイケル・マニング(エンジニア)
■暗闇のピットストップ
その世界最速のピットクルーたちは、レッドブル・テクノロジー・キャンパスでピットストップ練習をした。
まだ部屋の中はライトがついているが、ピットクルーのヘルメットのバイザーには真っ黒なシートが貼られており、視界は完全に制限されている。
しかし、練習2回目には8.84秒、練習4回目には4.93秒までタイムを縮めた。
リカバリーのために休憩を挟みながら、チームは10回の挑戦で3秒を切るという目標を掲げた。
■撮影に4時間、暗闇の中、10回の挑戦で驚異的なピットストップタイム!
いよいよ実際にライトを消しての挑戦が始まった。暗闇ピットストップの本番だ。
クルーのバイザーは透明だが、部屋を真っ暗にされてすぐにピットストップをするため、暗闇に目が慣れる前にピットストップは終わってしまう。
レッドブル・レーシングのプロダクション・チームは、この瞬間を妥協することなく高画質で撮影するために、赤外線照明の専門家やナイトビジョンの専門家と協力した。
また、この挑戦が赤外線と通常のフィルムの両方で記録されるよう、専門的な撮影機材も開発している。
さらに、フロントとリアのジャッキオペレーターと電動ピットストップカーのドライバーが装着する暗視装置については、“軍の専門家”がコンサルティングがついたほどだ。
やり過ぎな程のこのミッションは、27台の専用カメラの前で4時間かけて撮影され、22人のピットクルーが10回の挑戦を行った。
最初は7.52秒。3回目は9.81秒。暗闇だとなかなか上手くいかないようだ。
しかし5回目は6.68秒を記録した。
7回目には4.06秒までタイムアップしてきた。
そして8回目には3.20秒を記録!目標の3秒切りまであと少しだ。
ところが9回目には力が入ったのか4.64秒と失敗。一体何が悪かったのか・・・。
いよいよ最後の10回目。ここで世界最速のピットクルーたちは抜群の集中力を発揮し、ついに不可能と思われたことを達成!最終結果は「2.84秒」という驚異的なストップタイムを叩き出したのだ!
これは2019年F1ブラジルGPでチームが記録した世界記録ピットストップタイムにわずか1秒及ばなかったものの驚くべきタイムだった。
■事前予想と結果
2.10秒 ジョナサン・ウィートリー(スポーツ・ディレクター)の予想
2.60秒 クリスチャン・ホーナー代表の予想
2.84秒 【暗闇ピットストップ最速タイムの結果】
3.10秒 ピットクルーの予想
3.13秒 ハンナ・シュミッツ(プリンシパル・ストラテジー・エンジニア)の予想
6.69秒 マックス・フェルスタッペンの予想
33.90秒 セルジオ・ペレスの予想
3日 マイケル・マニング(エンジニア)の予想
この挑戦の全貌はこちらの動画で観ることができる。