レッドブル首脳であり、レッドブル・レーシングとアルファタウリのドライバープログラム責任者として知られるヘルムート・マルコによると、リアム・ローソン(アルファタウリ)はF1フルタイムシートを目指しているという。現在アルファタウリで3年目のF1シーズンを迎えている角田裕毅にとっては、2024年もフルタイムドライバーを務めるのに相応しいドライバーであることを今後のレースで示さなければならない。
■リカルドの負傷欠場で状況が大きく変化?
少し前までは、第12戦ハンガリーGPでニック・デ・フリースの後任としてF1グリッドに戻ってきたダニエル・リカルドが2024年もアルファタウリで走るか、あるいはセルジオ・ペレスの後任としてレッドブルに復帰することになるのはほぼ確実だと考えられていた。
しかし、リカルドが第14戦オランダGPのフリー走行2回目でクラッシュして左手を骨折してしまったことをきっかけに、この状況に大きな変化が生じる可能性が出てきている。
それは、リカルドの代役としてオランダGPの土曜日から急遽出走した21歳のニュージーランド人ドライバーであるリアム・ローソンが期待以上のパフォーマンスを見せたことだ。
■リカルドの復帰は早くても第18戦カタールGP
80歳のマルコはこのほど母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に対し、ローソンが2024年にアルファタウリのシートを獲得する可能性があることを示唆した。
「不運なことに、かなり複雑な骨折なんだ」
現在スペインのバルセロナでリハビリを行っていると伝えられているリカルドの状況についてそう語ったマルコは、次のように続けた。
「(完治までに)6週間かかると想定されている。そして、我々は何もリスクは冒したくないんだ。幸いなことに、リアム・ローソンという素晴らしい代役を見つけることができたからね」
「彼(リカルド)は早ければカタールでレースに復帰できるだろうと思っている。とりわけ、シンガポールと鈴鹿は手にとって最も困難な2レースだからね」
■ローソンには未来があるとマルコ
マルコは、リカルド不在の間、ローソンがF1でどのような走りを見せるのかに大いに期待しているようだ。
「ローソンはこれまでしばらく我々と一緒にいたし、彼は真のニュージーランド人だ。デニー・ハルムやブルース・マクラーレンのようにね。彼はバトルでは厳しいが賢いスタンスを取っているよ」
「彼には本当に未来がある。アルファタウリで彼の戦略がうまくいっていれば(モンツァで)ポイントを獲得していたかもしれない。残念ながら、その点は留意しておかなければならない」
「彼には確かに速さがあったし、本当に将来が楽しみだよ」
ローソンについてそう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「彼は現在、非常に厳しいシリーズである日本のスーパーフォーミュラでランキング2番手につけている。あのマシンはF2よりも速いんだ。だが、日本のシリーズだからここではあまり注目されていないがね。彼はまだそこで勝てるかもしれないよ」
■角田にとってはシンガポールGPと日本GPが正念場?
一方、今季限りでアルファタウリのチーム代表から降りることが決まっているフランツ・トストは、先週末に第15戦イタリアGPが開催されたモンツァにおいて、現在唯一の日本人F1ドライバーである23歳の角田は来年もアルファタウリで走ることになるだろうと示唆していた。
マルコはローソンが将来のシートを確保するには今後の数レースで確実なものにしなければならないという。
「彼が(フルタイムで)マシンに乗るのか、それともリザーブドライバーになるのかって?(ニック・デ・フリースとダニエル・リカルドを交代させたように)すでに目にしてきたように状況はすぐに変わるものなんだ。そして、我々にあるのは4つのシートだけだ」
そう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「彼はF1で十分に通用することを証明した。今、彼は今後のレースでそれを確実なものにしなければならない」。
ようやくF1で走るチャンスを手に入れたローソンにとっては、リカルドがケガから復帰するまでの数戦で実力を示し続けなければならない。ローソンがシートを争う相手は、リカルドなのか、それとも角田裕毅なのかは今後のパフォーマンス次第でマルコが決めることになるが、新人とはいえローソンはミスが許されない状況だ。
一方、角田にとってもプレッシャーがかかる状況だろうが、少なくとも、マリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで開催される次戦シンガポールGP(17日決勝)とその翌週に鈴鹿サーキットで行われる日本GP(24日決勝)において、チームメートのローソンを上回るパフォーマンスを示すことが2024年のシートを確保するための条件となりそうだ。