2016年のF1チャンピオンであるニコ・ロズベルグは、レッドブルが2023年F1シーズンの22戦全てで勝利するのは難しいと考えているようだ。
2023年F1シーズンはここまでに10戦が消化されているが、現F1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンが8勝、チームメートのセルジオ・ペレスが2勝と、レッドブルが全てのレースで勝利を収めている。
そして、とりわけ現在のフェルスタッペンの強さを見れば、このままレッドブルが今季を全勝で終える可能性もあると考えられている。
■全てがフェルスタッペンひとりの肩にかかっている
だが、38歳のロズベルグは、レッドブルが今シーズンの全てのレースで勝利するのは難しいだろうと考えているようだ。
レッドブルが今季のレース全て勝利する可能性はあるかと尋ねられたロズベルグは、スペインのスポーツ紙『Marca(マルカ)』に次のように語り、その可能性はそれほど高くはないだろうと示唆している。
「難しいのは、今のところ、彼らには全てのレースで勝利できるドライバーがたった1人しかいないことだ。もう1人は、多くの困難を抱えて常に後れをとっている」
「だから、彼らがそれを達成するのは難しくなるだろうけれど、まだ可能性はある。だけど、そのためにはフェルスタッペンが多くのレースを戦わなければならないだろうね」
■ペレスの立場はよくわかるとロズベルグ
そう語ったロズベルグだが、フェルスタッペンにはその困難な仕事をやり遂げることが十分な力があるかもしれないとも考えている。
「僕から見れば、彼は(アイルトン)セナ、(ミハエル)シューマッハ、(ルイス)ハミルトンといった歴史上重要なドライバーに匹敵するレベルになると思うよ」
「彼は逸材だ。そしてチームもまた彼に非常にいいマシンを与えている。最高のマシンをね」
「だけど、彼のチームメートたちの状況も目にした通りだ。彼らはみな強いんだ。だけど、決して彼に近づくことはできないんだ」
かつてメルセデスでチームメートのハミルトンと死闘を繰り広げてきた経験を持つロズベルグはそう語ると、次のように続けている。
「今のペレスも同じだよ。彼も優れたドライバーだし、僕も彼のことはよく知っている。だけど、彼がマックスに近づくことは不可能だよ。そして、相手の方が優れていることを受け入れるのは、精神的にとても難しいことなんだ」
「僕にはそれがよくわかるんだ。なぜなら、僕もハミルトンと同じようなことがあったからね。すごく速いドライバーがそばにいるのはやっかいなことなんだ」
■今のF1には“見せ場”もある
一方、フェルスタッペンとレッドブルしか勝利しないという現在の状況は、F1にとってよいことではないと考えている者もいる。だが、ロズベルグは必ずしもそうは考えていないようだ。
「彼(フェルスタッペン)の存在はF1にとってはよくないと言う人もいるだろう。それは、いつも同じ者が勝つからだ」
「だけど、時にはいいことでもあるよ」
「彼の後ろにはたくさんの見せ場がある。シルバーストンではいきなり2台のマクラーレンが後ろについたし、それはいいことさ」
現在はテレビのF1解説者として活躍する一方、エクストリームEチームのオーナーとしてレース活動も続けているロズベルグはそう語ると、次のように付け加えた。
「これから誰が2番手になるかなんて誰にもわからないよ」