2023年F1シーズンはここまでに8レースが消化されているが、現時点ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンがすでに3年連続でのF1ドライバーズタイトルをほぼ手中に収めたと考えられるほどの強さを示している。
ここ数レースではチームメートのセルジオ・ペレスが調子を落としていることが気になるとは言え、コンストラクターズ選手権においてもレッドブルが現在2番手につけているメルセデスにすでに154ポイント差をつけている。
コンストラクターズ選手権ではメルセデスとアストンマーティンがお互いにポイントを奪い合いながら2番手争いをしているという現実もあり、レッドブルとしてもそれほど大きな不安は感じていないのが実際のところかもしれない。
■大規模な引き抜きに困惑するレッドブル
こうした中、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)によれば、レッドブルによって現時点でより差し迫った問題はライバルチームたちがイギリスのミルトンキーンズにファクトリーを構えるレッドブルから技術者を引き抜こうと懸命に働きかけていることだという。
最近では、レッドブルのチーフエンジニアリングオフィサーを務めていたロブ・マーシャルが2024年にマクラーレンに移籍することが明らかとなっているが、噂によればフェラーリもレッドブルから何人かのエンジニアの引き抜きに成功したようだとも言われている。
「現在のように大規模な引き抜きが行われたことはこれまで一度もなかったよ」
そう語った80歳のマルコは、次のように付け加えた。
「バジェットキャップ(チーム予算上限)があるにもかかわらず、ほかのチームがこういうことをやっているのは我々にとっては一層驚くべきことだ。彼らは我々の2倍以上の報酬を提示しているんだからね。どうやら、彼らは別のところで節約しているようだね」
■レッドブルの強みは首脳陣の結束
しかし、マルコによれば、レッドブルにとっての強みは、マルコ、クリスチャン・ホーナー(チーム代表)、エイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)という3人のトップオフィシャルたちが結束していることだという。
「この継続性が我々をほかとは違うものにしているんだ」
「ニューウェイは我々のところに17年いる。ホーナーは19年だし、私はもっと長いんだ」
「2013年のあとは困難だったよ。我々は同じような成功を収めていたものの、そこでメルセデスの優位性に気付いたんだ」
マルコが言及したのは、レッドブルがセバスチャン・ベッテルを擁して2010年から2013年まで4年連続でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを獲得したものの、現在のハイブリッド方式F1エンジンが導入された2014年以降は圧倒的な強さを誇るメルセデスの時代へと変わってしまったことだ。
「我々はチームがばらばらにならないようにしなくてはならなかったが、成功していれば、それはもっと簡単なことだよ」
マルコはそう語ると、次のように付け加えた。
「誰もがフェルスタッペンのようなドライバーのために働きたいと思っているからね」。