メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフが、イギリスのブラックリーにファクトリーを構えるチームはまだマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に「プレッシャー」をかけることができる立場にはないと認めた。
■マシンコンセプト変更で改善の兆しが見られるメルセデス
2021年にはフェルスタッペンにドライバーズタイトルをさらわれ、2022年にはドライバーズタイトルに加えてコンストラクターズタイトルも奪われて2013年以来となる無冠で終えたメルセデスは、2023年シーズンも“ノー・サイドポッド”とも形容された独特のマシンコンセプトでスタートを切っていた。
しかし、実際にシーズンが始まると、昨年コンストラクターズランキング7位に終わっていたアストンマーティンにも先を越されるという苦しい展開となり、現在では“ノー・サイドポッド”コンセプトを諦め、レッドブルF1マシンのものに似た新コンセプトマシンで巻き返しを図ろうとしている。
その効果もあってか、第8戦スペインGPではメルセデスがコンストラクターズランキングでアストンマーティンを逆転してレッドブルに次ぐ2番手に浮上している。
だが、メルセデスとトップを快走するレッドブルのポイント差はすでに154ポイントにまで開いている。ドライバーズタイトル争いにおいても、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とフェルスタッペンの差は93ポイントとなっており、実際のところ今季のタイトル獲得はほぼ絶望的な状況だ。
■進歩はあるもフェルスタッペンにプレッシャーをかけられるほどではない
しかし、メルセデスでは、フェルスタッペンにプレッシャーをかけるためにも、今後も2023年型マシンの改良を続けていくようだ。
「シルバーストン(第11戦イギリスGP/7月9日決勝)には大幅なアップグレードを持ち込むよ」
テレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語ったヴォルフは、夏休みに入る直前にもまた新たなアップグレードを導入する予定であることを明かし、次のように続けている。
「風洞実験ではパフォーマンスの向上が見られている」
「クルマを速くするために何が必要なのか、どのようなセットアップをすべきかがよりよく理解できているよ」
「全般的に、今では改善の幅が大きくなっている。我々はいい進歩を遂げていると思っているよ。だが、マックスのリードはまだあまりにも大きく、彼に本当にプレッシャーをかけることができているとは思えないよ」
そう語ったヴォルフは、次のように付け加えた。
「しかし、私はそれを修正できると思っている。それは空力であり、メカニカルコンセプト全体であり、それらすべてが織り込まれているんだ」。