最近、フェラーリがレッドブルから2人のトップエンジニアを引き抜いたことが明らかとなったが、その中に天才的F1マシン設計者とも称されるエイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)は含まれていないようだ。
■レッドブルから2名のトップエンジニアがフェラーリに
フェラーリの地元であるイタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』によれば、今年も圧倒的な強さを見せているレッドブルのトップエンジニア2人が「ガーデニング休暇」を経てフェラーリに正式加入することになるという。
F1チームのエンジニアなどが他チームへ移籍する場合には、機密保持等の理由から、実際にそのチームで業務を開始する前に一定の期間を置くのが普通のことになっている。もちろん、それは個々の契約の中に盛り込まれおり、その期間は仕事に従事することができないことになる。そのため、その期間は庭いじりをしながら過ごすしかないといった意味から「ガーデニング休暇」と呼ばれるようになっている。
「彼らの名前はまだ明らかになっていない。そして、彼らがどれだけの違いを生み出せるかもわからない」
そう続けた『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』は、次のように付け加えている。
「結局のところ、カヴァリーノは過去3年間にレッドブルやメルセデスといったトップチームから30人のエンジニアを雇った」
ちなみに、カヴァリーノとは、フェラーリのエンブレムに描かれた『跳ね馬』(Cavallino Rampante)のことであり、フェラーリを指す語としてしばしば用いられているものだ。
■人材流出に苦しむフェラーリ
また、イタリアの日刊紙『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』も、フェラーリが「レッドブルからトップエンジニアを奪った」のは間違いないと報じている。
もちろん、フェラーリのこうした動きは、昨年末から今年にかけてトップエンジニアの流出が続いていることに対応したものであるのは間違いないだろう。
今季のF1第4戦アゼルバイジャンGPが開催された先週末のバクーでは、現在レーシングディレクターを務めているローラン・メキースがいつものようにフェラーリのピットウォールで指揮を執っていた。だが、そのメキースもいずれはフェラーリの実務から離れ、2024年以降アルファタウリのチーム代表に就任することが決まっている。
フェラーリが再びF1タイトルを狙うための態勢を整えるにはもう少し時間がかかることになるのかもしれない。
■フェラーリに引き抜かれたのはニューウェイにあらず
今回フェラーリがレッドブルからエンジニアを引き抜いたと伝えられた際、少し前にアストンマーティンへの移籍が噂されたこともあったエイドリアン・ニューウェイ(レッドブル/チーフテクニカルオフィサー)が含まれているのではないかと考えた者もいたようだ。
しかし、最新の情報によれば、64歳のニューウェイは最近レッドブルとの契約を更新したものと考えられている。
スペインの日刊スポーツ紙『El Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』によれば、レッドブルの広報担当者はそのニュースを公式に認めることはなかったものの、イギリス出身エンジニアのニューウェイは「しばらくはどこにも行くことはない」と語ったという。