F1アゼルバイジャンGP(バクー市街地)の決勝レースが行われた。
●【2023F1第4戦アゼルバイジャンGP】決勝レースの結果、タイム差、周回数、ピット回数
優勝は市街地コースが得意なセルジオ・ペレス(レッドブル)で、昨日のスプリントに続き2日連続で優勝した。決勝レースでは第2戦サウジアラビアGP以来今シーズン2勝目。勝利したレースはすべて市街地で、まさに「キング・オブ・ストリート(ストリートの王者)」だ。
2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)だった。
レッドブルと同じホンダRBPTのパワーユニットを搭載するアルファタウリは、角田裕毅は10位で1ポイント獲得、新人ニック・デ・フリース(アルファタウリ)は壁にヒットしてリタイアに終わった。
■レースレポート
18番手ニック・デ・フリース(アルファタウリ)、ピットレーンスタートを選択したエステバン・オコン(アルピーヌ)とニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)の3名がハードタイヤを履いているが、その他17台はミディアムタイヤを装着してスタートした。前日のスプリントでソフトタイヤがまったく使い物にならなかったことがわかったため、ソフトタイヤは最後のファステストラップを狙う時以外は出番はなさそうだ。
■1周目
シグナルが消えてスタート!
ルクレールが昨日に続き再び好スタートを切った。フェルスタッペンが後ろに入り、前日優勝したペレスが続く。ハミルトンはサインツと並んでいるが、譲ってフェラーリを前に出した。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)とアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)の周りの中団で接触があり、パーツが飛んでいる。よくある1周目のインシデントのようで、狭いコーナーでどのマシンも譲らずあまりにも多くのマシンがコーナーに並んでいた。
デブリ回収のためダブルイエローフラッグが出ていたが、マーシャルがトラックに入り、すぐに片付けた。
■2周目
フェルスタッペンはルクレールの後ろにピッタリとつけて、その差は0.5秒もない。ランス・ストロール(アストンマーティン)は最初のラップでランド・ノリス(マクラーレン)を追い抜いた。ジョージ・ラッセル(メルセデス)は9位まで上がっている。
ケビン・マグヌッセン(ハース)はダメージを報告した。マグヌッセンもピアストリとアルボンの混乱の中にいたようだ。この3人は現時点でトップ10のすぐ後ろを走っていた。
■3周目
DRSが使用可能になった。
まだ、フェルスタッペンはルクレールのすぐ後ろにいる。DRSが有効になったことでルクレールにプレッシャーがかかる。ペレスは、トップ2台に食らいついている。4番手サインツは少し差をつけられた。
スタートのリプレイ映像では、中団グループで実際に接触したのはピアストリとアルボンだった。その後ろでは、マグヌッセンがバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)の背後から突いている。これがハースがダメージを負った理由で、ボッタスが順位を落とした理由だ。
■4周目
DRSを開けたフェルスタッペンがルクレールをホームストレートで楽々オーバーテイク。フェラーリのルクレールは抵抗することはなかった。
3番手ペレスは、チームメイトが逃げる前にすばやくルクレールをオーバーテイクしなければならない。
■5周目
ペレスはルクレールに接近したが、ターン1の前に動き出すには少し早すぎた。もう一度行けるか?ペレスはターン5でフェラーリの後ろを走っているが、焦ることなく、次のDRSゾーンまで待っている。賢明な判断だ。
FIAは、1周目のアクシデントに対してお咎めなしという判断を下した。レースでよくある接触でペナルティーを科すほどではないということだ。
■6周目
ターン1でペレスがルクレールをオーバーテイク。これでレッドブルのワン・ツー体制となった。別の言い方をすると、チームメイト同士の一騎打ちだ。レッドブルは2人の戦いについて制限をすることなく自由に戦わせている。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)が早々にハードタイヤに交換し、最後尾でコースに復帰した。粘り強く走って追い上げる戦略だ。ここはセーフティカーが出る確率が高いため、このまま走りきれば順位を上げる可能性もある。
ストロールは無線で「僕たちは同じゲームをプレイしている」と伝え、前にいるアロンソに攻撃するつもりはないことをチームに伝えた。
■7周目
しかしアロンソは「彼はやれるよ」と言った。レースを盛り上げることに一役買おうということだ。
しかし、ミディアムタイヤはあまり長く保たない。多くのドライバーからデグラデーション(劣化)が報告されている。エンタメのためにチームメイト同士のバトルをしている余裕はないかもしれない。
■9周目
タイヤのデグラデーションにより、ルクレールは数秒後退し、サインツはドリフトし、グレーニングに苦しんでいるハミルトンと5位争いが展開されそうだ。アロンソはかつてのライバルの背後につけている。
■10周目
ハミルトンはピットに入り、後方のノリスもピットインしてハードタイヤに変更した。アロンソをクリーンエアで走り去った。
ハミルトンはヒュルケンベルグの後ろ13番手でコースに復帰、あまりよくないポジションだ。DRSトレインの前で復帰させたかっただろう。ノリスはそこから1秒遅れてDRSトレインの中に戻った。
■11周目
イエローフラッグが出された。ニック・デ・フリース(アルファタウリ)がターン6で真っ直ぐ進んでいて動かない。
フェルスタッペンがピットに入りハードタイヤに交換、ペレスはステイアウトした。
デ・フリースはまだ動けない。セーフティカーはあるか?
ここでセーフティカーが出された。フェルスタッペンとハミルトンは、セーフティカーが出る前にピットインしたために不利になった。これでオーダーはどうシャッフルされるか?
デ・フリースはターン5で左フロントタイヤを壁にヒットさせてしまい、アームが折れてしまったため、ターン6で曲がれなくなっていた。
■14周目
レース再開。ペレス、ルクレール、フェルスタッペン、サインツ、アロンソというトップ5だ。
ターン6、カルロス・サインツ(フェラーリ)のイン側にアロンソが飛び込みズバッとオーバーテイク。アロンソは4番手へ浮上した。
■19周目
アロンソ先生は、僕のブレーキバランスはいいから教えてあげて、とランス・ストロールに提案する余裕を見せた。
■20周目
しかしストロールは、長い直線へと入っていくターン16でタイヤを滑らせるミスを犯しコース外を走行して加速に失敗。すぐ後ろのハミルトンは見逃さずにピッタリとつけ、DRSを使用してターン1の手前で簡単に抜いていった。
■23周目
2番手フェルスタッペンはまだペレスの1秒以内に入れず、DRSレンジに入ることができない。レースは少し落ち着きを取り戻し、もう一度ピットインするか、最後までこのタイヤを管理するかを誰もが考え始めてきた。
■24周目
「プランBを検討する必要がある。(7番手の)ストロールは本当に苦戦しているよ」と8番手のラッセルはチームに求めた。
一方、ストロールと同じマシンのアロンソはタイヤをうまくマネージしているようだ。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は2度目のピットストップで再びハードタイヤに交換したが、最後尾の19番手でコースに復帰した。
■25周目
トップのペレスはうまくタイヤをコントロールしていて、フェルスタッペンに1.5秒以上の差をキープしている。
その約14秒後ろを走る3番手ルクレールにアロンソがじわじわと近づいている。
■28周目
サインツはプランAとプランCについて尋ねられた。フェラーリの2ストップ戦略のように聞こえるが、ハードタイヤはもうないため、長く走り続ける必要があるかもしれない。
■30周目
フェルスタッペンはエンジンブレーキについて不満を漏らしていて、それがギャップが拡大した理由だと言っているのかもしれない。
■31周目
ハミルトンは21周走ったタイヤに不満を漏らしている。
■32周目
先頭の2人はファステストラップを入れ替えながら走行しており、その差は約2.2秒だ。ペレスはタイヤを長持ちさせることに長けており、中団グループ時代には古いタイヤで良い走りを見せてキャリアを築いてきた。
■36周目
ジョウ・グァンユ(アルファロメオ)は「問題がある」と言われてピットインすると、エンジンを止めてガレージに入ってしまった。デ・フリースに続き2人目のリタイアだ。
■40周目
3番手のルクレールとアロンソの差は4.42秒で、アロンソが表彰台を狙うのか否かはまだわからない。
■41周目
5番手サインツが小さなミスをし、後方のハミルトンはタイヤを冷やすために下がっていたが、すぐに再び接近した。ハミルトンはアクションを起こすのか?しかし、メルセデスF1はストレートが遅すぎるため、DRSを使ってもフェラーリを簡単にオーバーテイクすることは難しそうだ。
■42周目
ピットレーンスタートの11番手ヒュルケンベルグと9番手オコンはまだピットインしてない。
■44周目
ヒュルケンベルグはグリップに苦労していて、オーバーステアのスナップが役に立たず、再びバリアに軽くタッチしている。しかしここでピットストップを行うとかなり下に落ちてしまうので、ハース、そしてオコンのアルピーヌは、セーフティカーが出るまで我慢させる戦略だ。
■47周目
角田がヒュルケンベルグをパス。ハースはヒュルケンベルグに対して「ステイアウトして持ちこたえろ」と言って我慢させている。
■49周目
4番手のアロンソは新たなファステストラップを記録し、ルクレールとの差を縮め、表彰台まで3秒以内に近づいた。しかし、ルクレールが大きなミスを犯したり、フェラーリのPUが故障したりしない限り、アロンソの表彰台はなさそうだ。
■50周目
メルセデスは8番手ラッセルをピットインさせ、ファステストラップのボーナスポイントを狙わせている。後方とも差があり、順位を落とすことなくコースに復帰した。
ここでヒュルケンベルグがついに今日初めてのピットインをした。残念ながら狙う通りにセーフティカーは入らなかった。
■51周目
ペレスはラインを越えて最終ラップに入ったが、オコンはまだピットインしていない。2種のタイヤコンパウンドを使用していないため、このままだとレース失格になる。最後の最後までセーフティカーを待ったが、オコンは最終ラップでピットインし、順位を大きく落としてしまった。戦略失敗だ。
ペレスが今シーズン2勝目!まさに「キング・オブ・ストリート(ストリートの王者)」だ。ペレスは土曜日のスプリントでの勝利に加えて日曜日の決勝レースでも優勝した。開幕から4戦を終えてレッドブルはそれぞれ2勝を挙げたことになる。
フェルスタッペンは2位でフィニッシュし、ルクレールは3位でフェラーリはようやく今シーズン初の表彰台を獲得した。
4位はアロンソ。アストンマーティンF1とメルセデスF1の実力は僅差のようで、来週のマイアミでも面白い戦いになりそうだ。
5位はサインツ、6位ハミルトン、7位にはストロールが入った。
8位でフィニッシュしたラッセルはファステストラップを獲得し、追加で1ポイントを獲得した。
9位にはランド・ノリス(マクラーレン)、10位には角田裕毅(アルファタウリ)が入り、2戦連続でポイントを獲得した。
■F1アゼルバイジャンGP暫定結果
1 S.ペレス(レッドブル)
2 M.フェルスタッペン(レッドブル)
3 C.ルクレール(フェラーリ)
4 F.アロンソ(アストンマーティン)
5 C.サインツ(フェラーリ)
6 L.ハミルトン(メルセデス)
7 L.ストロール(アストンマーティン)
8 G.ラッセル(メルセデス)
9 L.ノリス(マクラーレン)
10 角田裕毅(アルファタウリ)
11 O.ピアストリ(マクラーレン)
12 A.アルボン(ウィリアムズ)
13 K.マグヌッセン(ハース)
14 P.ガスリー(アルピーヌ)
15 E.オコン(アルピーヌ)
16 L.サージェント(ウィリアムズ)
17 N.ヒュルケンベルグ(ハース)
18 V.ボッタス(アルファロメオ)
ー G.ジョウ(アルファロメオ)
ー N.デ・フリース(アルファタウリ)
●【2023F1第4戦アゼルバイジャンGP】決勝レースの結果、タイム差、周回数、ピット回数
■次戦は来週
次戦は1週間後、マイアミGPだ。時差もあり、移動距離も大きく、F1業界で働く者にとっても日本のファンにとっても大変な2周連続開催となる。