2016年にチームメートだったルイス・ハミルトンに勝ってF1チャンピオンとなったニコ・ロズベルグが、現在ハミルトンのチームメートを務めているジョージ・ラッセル(メルセデス)にアドバイスを行った。
■ラッセル昇格と同時に失速したメルセデス
メルセデスのジュニアドライバーであったイギリス出身のラッセルは、メルセデスがエンジンを供給していたウィリアムズで2019年にF1デビュー。そして、2022年についにトップF1チームであるメルセデスに昇格し、同じイギリス人であるハミルトンのチームメートとなった。
だが、2022年には新たな技術ルールが導入されてF1マシンの構造が大きく変わったことで、それまで8年連続でコンストラクターズチャンピオンとなっていたメルセデスがその勢いを失い、ランキングもレッドブル、フェラーリに次3位に下がってしまった。
メルセデスに移籍したことで2022年にはハミルトンや2021年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とタイトル争いができると期待していたラッセルにとっては、第21戦ブラジルGPで念願の初優勝を達成することはできたにしろ、それはかなりショッキングな出来事だったはずだ。
そして迎えた2023年だが、今年のメルセデスF1マシンにも戦闘力がなく、ラッセルももはや今年のタイトル挑戦は諦めているようだ。
■ラッセルの目標は今年も打倒ハミルトン?
だが、ラッセルにとって明るい面があるとすれば、それは今年も昨年と同じように7度F1王者となった実績を持つハミルトンよりも優位に立っていると考えられることだ。
2022年のラッセルは、ハミルトンを上回るパフォーマンスを発揮し、ドライバーズランキング6位に沈んだハミルトンに30ポイント差をつけてランキング4位で終えている。
そして迎えた2023年シーズンも、開幕戦バーレーンGP決勝こそハミルトンに逆転されてしまったものの、予選ではバーレーンに加え、第2戦サウジアラビアGPでもラッセルがハミルトンに勝っている。
バーレーンの決勝でハミルトンが5位になったのに対しラッセルが7位で終わったことにより、現時点ではハミルトンがラッセルに2ポイント差をつけてランキング5番手、ラッセルがその下6番手に位置しているものの、現在のラッセルとハミルトンの調子からすれば、今後ラッセルがポイントでもハミルトンを上回っていく可能性も十分にありそうだ。
そして、そうなれば、7度F1王者となったハミルトンを2年連続で破ったドライバーとして、ラッセルに対する評価もさらに上がるはずだ。
■ハミルトンをみくびってはならないとロズベルグ
しかし、2016年のF1チャンピオンであるドイツ出身のニコ・ロズベルグは、ラッセルに対して、まだ安心するのは早いと警告している。
2014年からハミルトンと激しいチーム内バトルを繰り広げてきたロズベルグは、2016年に初めてハミルトンを破って自身初のF1ドライバーズタイトルを獲得すると、そのままF1を引退してしまったという経緯がある。
そのロズベルグは、テレビ局『Sky(スカイ)』に次のように語った。
「ルイスには少し心理的な弱点があって、自制心を失ってしまうことがあるんだ」
「だけど、いつだって彼は派手に戻ってくるよ」
「だから、親愛なるジョージ君、あまり自信過剰にならないようにね」