メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンが、メルセデスはニック・デ・フリースをレッドブル陣営に移籍させたことを後悔することになるかもしれないと認めた。
■2022年に代役出走で結果を残したデ・フリース
昨年はメルセデスのリザーブドライバーを務めていた28歳のオランダ人ドライバーであるデ・フリースは、モンツァで行われた第16戦イタリアGPで、虫垂炎のために欠場することになったアレクサンダー・アルボンの代役としてF1デビューを果たしている。
モンツァで実際にウィリアムズF1マシンのステアリングを握ったのは土曜日からだったにもかかわらず、予選で13番手となったデ・フリースは、エンジン交換ペナルティーによるグリッド降格となったドライバーが多かったことで決勝は8番グリッドからスタート。決勝ではひとつ順位を下げたものの9位でフィニッシュし、デビューレースで見事にポイントを獲得するという成績を残している。
この結果を受けて、レッドブルのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコが、アルピーヌへ移籍するピエール・ガスリーの後任として2023年にデ・フリースをセカンドチームであるアルファタウリのドライバーに起用することを決めたものだ。
■デ・フリースにはF1で勝てる力があるとメルセデスのエンジニア
だが、ショブリンはこのほど次のように語った。
「我々は彼を手放したことを後悔するかもしれない」
「私は彼がすぐにレッドブルのファクトリーチームにいるのを見ても驚かないだろうね。もしも今後12か月かそこらでそうなったとしても全く驚かないよ」
「ニックにはレースで勝てる能力があることは疑いの余地はないよ。適切なチームで適切なクルマに乗ればね。年齢的にF1チャンピオンになるまでの時間はあまりない。でも、彼はそれを経験で補えるよ」
ショブリンは、メルセデスとしては2023年もデ・フリースをキープしたかったものの、レースシートを用意したレッドブルに移籍することにストップをかけることがかなわなかったのだと示唆している。
「我々はニックとの間で、もしメルセデスチームでシートを用意できないのであれば、彼が最良の選択肢を選ぶことができるということに合意したんだ」
そう語ったショブリンは、次のように付け加えた。
「彼は我々のチームに非常によく適合するし、我々にとって理想的なテスト兼リザーブドライバーだった。だが、永遠に全員をとどめておくわけにはいかないよ」
■角田との戦いにも注目
デ・フリースは、自分よりも6歳若いものの、今年で3年目のF1シーズンを迎える日本人ドライバーの角田裕毅とともに2023年のF1シーズンを戦うことになる。
昨年はガスリーとの差をかなり詰めてきた角田が、2019年のF2チャンピオンであり、2020-2021年シーズンのフォーミュラEチャンピオンでもあるデ・フリースとどのようなチーム内バトルを展開するのかにも注目が集まるのは間違いない。