レッドブル首脳のヘルムート・マルコが、2023年のF1は昨年よりもさらに接戦となるだろうと語るとともに、最も警戒するべきなのはフェラーリよりもメルセデスの方だと考えていることを認めた。
■2022年には圧倒的強さを誇ったレッドブル
2022年F1シーズンのレッドブルはマックス・フェルスタッペンが2年連続のドライバーズタイトルを獲得するとともに、2013年以来となるコンストラクターズタイトルも獲得。全22戦中フェルスタッペンが1シーズンの最多勝利記録となる15勝、チームメートのセルジオ・ペレスも2勝をあげ、トータル17勝をあげる圧倒的な強さを誇った。
とりわけ、レッドブル勢は2022年シーズン後半には11レース中10レースで優勝するという絶対的な強さを発揮。レッドブルにとってシーズン後半に唯一の黒星となったのは、メルセデスのジョージ・ラッセルが初勝利を収めた第21戦サンパウロGPのみだった。
■予想外の不振に陥ったメルセデス
メルセデスにとってはそのラッセルの勝利が2022年唯一のものであり、2014年から2021年まで8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得してきた最強チームにとっては予想もしなかった苦しいシーズンとなってしまった。
この原因は、メルセデスが2022年に導入された新たな技術レギュレーションへの対応に失敗してしまったことだ。メルセデスはレッドブルだけでなく、フェラーリにも先行を許し、コンストラクターズランキングは3位で終えている。
■2023年に警戒すべきはメルセデスだとマルコ
それでも、シーズン終盤にはメルセデスのパフォーマンスが向上してきていたのは明らかだった。そして、2023年を迎えるにあたって、レッドブルでモータースポーツアドバイザーを務める79歳のマルコは、最も警戒すべきチームはメルセデスだろうと予想している。
「我々はメルセデスをもっと恐れるべきだろうね」
そう語ったマルコは次のように付け加えた。
「それは主に彼らの方が戦略や信頼性の面でフェラーリよりも優位に立っているからだ」
■反撃を目指して組織改革を進めるフェラーリ
マルコが言及したフェラーリは、2022年シーズン序盤3レースで2勝をあげ、レッドブルにとって最大の脅威となると考えられていた。だが、シーズンが進むにつれてエンジンの信頼性問題やいくつかの戦略的ミスにより、フェラーリは自滅する形でタイトル争いから脱落してしまった。
そのフェラーリは、昨年までアルファロメオを率いていたフレデリック・バスールを新チーム代表に迎えるなど、長く続く無冠状態からの脱却を目指してさまざまな改革に着手している。
■2023年F1はかなりの接戦に?
一方、マルコは、レッドブルが2022年に大成功を収めたとは言え、パワーユニットと呼ばれるハイブリッド方式現行F1エンジンが導入された2014年以降のメルセデスのように、今後ずっとレッドブルの天下が続くとは考えていないようだ。
『motorsport.com』は、マルコが次のように語ったと報じている。
「我々の状況が、ハイブリッド時代が始まったときのメルセデスのようなものではないことは確かだよ」
「現在、我々はエンジンで非常に大きなリードを築いているわけではない。だから、状況は非常に異なっているんだ。当時、メルセデスはほかのものたちに対して少なくとも50馬力のマージンを持っていたよ」
「そして忘れてはならないのは、2022年はこの新たなレギュレーションのもとで行われた初めての年だったということだ。ほかのチームたちは言うまでもなく我々がこの年のマシンで何を成し遂げたのかを見ていた」
「だから、来シーズンは間違いなくもっと差が縮まると私は思っているよ」
■風洞時間削減のハンディキャップも背負うレッドブル
実際のところ、2022年のコンストラクターズチャンピオンとなったレッドブルは、ルールによってライバルチームよりも風洞テスト時間が削減されることになっている。さらに、2021年にバジェットキャップ(チーム予算上限)違反を犯していたと認定されたことから、さらに風洞時間の10パーセント削減というペナルティーも受けることになっており、大きなハンディキャップを背負って2023年シーズンを戦うことになるのは確かだ。
こうしたこともあり、2023年シーズンはレッドブルにとって苦しい戦いとなる可能性も大いにありそうだ。