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F1や自動車のサステナビリティ方針は「間違っている」天才ニューウェイが語った方法は“真逆”

2022年12月20日(火)19:31 pm

天才的F1マシン設計者として知られるエイドリアン・ニューウェイが、F1やモータースポーツ全般が目指そうとしているサステナビリティ(持続可能性)の方向性に疑問を呈した。

■F1もサステナビリティにおいて役割を果たす必要がある

現在、F1だけでなく、自動車産業全体において大きな課題となっているのが、サステナビリティへの対応だ。

レッドブルの最高技術責任者(チーフテクニカルオフィサー)を務めるニューウェイもそれが重要な課題であることは認めている。

「F1はそれにおいて役割を果たすことができるし、果たさなければならない」

『motorsport-magazin.com』にそう語ったニューウェイだが、現時点においては、論理的な取り組みが行われているとは言えないと次のように続けている。

「だが、電気、バイオ燃料、合成燃料、水素など、エネルギー源をどこから得るべきかという議論ばかりが行われている。とりわけ、電気自動車については、間違った情報が多く出回っているよ」

「人々も、電気自動車の製造に関わるカーボン・フットプリントはガソリン車よりはるかに多いことを理解し始めているところだ」

■電気自動車や風力発電も無公害ではない

カーボン・フットプリントとは、原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものだ。

例えば、電気自動車とガソリン車が走行する際に排出するCO2は圧倒的にガソリン車の方が多い。だが、大容量バッテリーなどを含む電気自動車の製造過程ではガソリン車製造よりも多くのCO2が排出されており、製造からその車が廃車となるまでに排出される全てのCO2の比較では電気自動車の方が環境に与える負荷が大きいというデータもある。

「風力や太陽エネルギーによる電気が無公害であるという仮定は、どう考えても正しくないんだ」

そう続けたニューウェイは、例えば風力発電に使用される風力タービンの建設には「膨大な量のコンクリート」が必要であり、それが「C02排出の最大の原因の一つ」なのだとも主張し、次のように付け加えている。

「これらの構造物には、アルミニウムや銅も多く含まれており、それらは製造段階での汚染も非常に大きいんだ。だから、無公害などではないよ」

■F1のサステナビリティ方針には自動車メーカーの影響?

F1マシンに関しては、ニューウェイに言わせれば“パワーユニット”と呼ばれているF1エンジンのハイブリッド技術は非常に効率的ではあるものの、マシンの重さがそのメリットを打ち消しているのだという。

「マシンを走らせ続けるために使われるエネルギー量については、誰も話題にしていないんだ」

そう語ったニューウェイは、市販車産業においても、メーカーがより大きく、より重い車を造ったとしても、排気ガスによる汚染さえ少なければそれが評価されているのは「非論理的」だと主張し、次のように続けた。

「それは、自動車メーカーに影響される政府によって運営されているからであり、それは最近のモータースポーツと非常によく似ているよ」

「F1におけるいくつかの変化も、ロビー活動の結果なんだ」

■本当に必要なのはより小さくて軽い高効率のマシン

「私は、より小さく、より軽く、よりエネルギー効率の高いマシンが必要だと思っているよ」

「我々のマシンはより大きく、より重くなっており、とりわけ空気力学的には効率的とは言えなくなってしまっているんだ。それは空気抵抗が大きいからだよ。残念ながら、F1はこの新しいルール(2022年に導入された新技術レギュレーション)で正反対のことを達成してしまったんだ」

「F1や自動車産業全般にとって、より大きく重い車や、人々がバッテリーで走るのかガソリンで走るのかにこだわることは、まったく間違った方向であることは明らかだよ」

「最大の問題は、そういったものを動かすのに必要なエネルギーの量なんだ。そのエネルギーがどこから来るかにかかわらずね」

そう語った63歳のイギリス出身技術者であるニューウェイは、次のように付け加えた。

「F1の技術ルールはそのことを認めていないように思える。もちろん、それは大手自動車メーカーがそれを望んでいないからだ。少なくとも、私はそう思っているよ」。

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