F1のレースカレンダーが拡大し続けることは、将来的に持続可能なことではないかもしれない。
そう考えているのはドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハだ。
■年間レース数が拡大を続けるF1
ミハエル・シューマッハの弟であるラルフがF1デビューしたのは1997年のことだ。当時のF1は年間17戦で行われていた。その後、F1の年間レース数は16戦から19戦の間で推移していたが、ラルフ・シューマッハにとって最後のF1シーズンとなった2007年はデビュー時と同じ17戦だった。
だが、先日発表された2023年のF1カレンダーには、史上最多となる年間24レースが組み込まれている。ラルフ・シューマッハの現役時代との比較では約1.4倍だ。
■無視できないメカニックたちの“燃え尽き症候群”
ラルフ・シューマッハは、これほどまでに年間レース数が増え続けることはF1にとって「エキサイティングなプロジェクト」だと評価している。しかし、現在47歳のラルフ・シューマッハは同時に若干の不安も感じているようだ。
「長期的に、どれだけの人たちがそれについて行くことができるのかが気になっているんだ」
オーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』紙にそう語ったラルフ・シューマッハは、次のように付け加えた。
「メカニックたちの燃え尽き症候群の問題を完全に無視することはできないと私は思う。彼らにとっては恐ろしいことに違いないからね。彼らはもう家族にも会えなくなってしまうんだ」
■一般大衆にとって年間24戦は飽和点?
もうひとつ、ラルフ・シューマッハが懸念しているのは、24戦というレース数は、一般の人々にとってはもはや飽和点に達してしまうのではないかということだ。
「友人と話しているときに、『またF1やってるの? 知らなかったよ!』と言われることがあるんだ」
そう語ったラルフ・シューマッハは、次のように付け加えている。
「だけど、F1が短い休みに入ると、なぜかさびしくなるんだ。『今週末はレースがない。日曜日は何をすればいいかな?』と考えている自分がいることに気付くんだ」。