2022年に導入されたF1の新技術レギュレーションが、その導入目的のひとつに掲げられていたF1チーム間の格差是正に一定の成果をあげているのは確かなようだ。
F1では、タイトル争いやレースをより面白いものにするために、F1チームの予算にバジェットキャップと呼ばれる上限値を設定することに加え、新技術ルールにもF1マシンのパフォーマンスにそれほど大きな差を生じないような工夫が施されている。
■マシンセットアップの調整でライバルたちをしのいできたハース
低予算の小規模F1チームのひとつであるハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、その効果は確実に出ていると考えているようだ。
シュタイナーによれば、自分たちのライバルチームであるウィリアムズやアストンマーティンが自分たちのF1マシンにレッドブルのサイドポッドを真似たアップデートを施す動きをとったのに対し、自分たちはレースごとにマシンのセットアップを調整することで対応することができていたという。
ケビン・マグヌッセンとミック・シューマッハが第10戦イギリスGPと第11戦オーストリアGPで2レース連続ダブルポイント獲得に成功したことを受け、シュタイナーは次のように語った。
「マシンをどういうふうにセットアップする必要があるのかということに関して、我々の確信はだんだん強まってきているよ」
マグヌッセンもこれに関して次のように語っている。
「しばらくの間は、それがどんな新しいパーツよりも進歩につながったよ」
「だけど、今では、その領域で得られるものが小さくなりつつある」
それゆえ、ハースもこれからアップデートの投入を計画しているという。そして、それによって「コンマ2秒以上」のタイムアップをもたらすだろうとシュタイナーは語り、次のように付け加えた。
「それ以下なら、我々はそのために労力を費やすことはなかっただろうね」
■新技術ルールで困難となったシーズン中の大幅アップグレード
シュタイナーは、シーズン中の開発がバジェットキャップによって制限されていることが自分たちにとって有利に働いているという側面があるのはもちろん、新技術ルールによってF1マシンの基本コンセプトがこれまでとは大きく異なる“グラウンドエフェクト”を持つものに変わったことも大きいと考えている。
「今では昔より少し難しくなっていると思う。みんなが持ち込むアップグレードが数年前ほどには大きくないからね」
「この技術レギュレーションでパフォーマンスを見いだすのは、以前よりずっと難しくなっているんだ」
そう語ったシュタイナーは、次のように付け加えている。
「だから、我々はこの技術的レギュレーションはかなりいいものだ、とも言わなければならないね」
昨年はシーズンを通じて1ポイントも獲得することができず、コンストラクターズランキング最下位に終わっていたアメリカンF1チームのハースだが、今季は11レースを終えた時点で34ポイントを稼いでおり、ランキングも7番手に位置している。