アストンマーティンのチーム代表を務めるマイク・クラックが、チームにとってのホームレースとなるF1イギリスGP(3日決勝)を前に、2023年もセバスチャン・ベッテルと一緒に続ける意向であることをあらためて表明した。
元BMWのモータースポーツ責任者であるクラックは、今週すでに4回F1チャンピオンとなった実績を持つベッテルが今後もアストンマーティンでF1を「続けることを望む」のであれば「我々は彼を長くキープしたい」との考えを明らかにしていた。
■まだベッテルと具体的な話ができるだけの材料がない
だが、実際のところ、34歳のベッテルが2023年以降もアストンマーティンで戦うことを望むかどうかは、アストンマーティンが今後競争力を高めることができるかどうかにかかってくるだろう。
ベッテルの母国ドイツのスポーツ専門誌『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』から、ベッテルとの交渉状況について質問されたクラックは、シルバーストンで次のように答えた。
「セバスチャンとはまだ具体的な話は始めていないよ。なぜなら、現在解決しなければならない問題がほかにたくさんあるからね」
クラックによれば、それは「希望に基づいて」契約交渉を行っても意味がないためだという。
■ベッテルとの契約延長がアストンマーティンの「プランA」
今季の第6戦スペインGPにおいて、レッドブルの2022年型F1マシンによく似たBスペックF1マシンを投入したアストンマーティンだが、見た目こそレッドブルに似ており、ライバルたちからは“グリーンブル”だと揶揄されたものの、実際のところそのマシンも期待していたようなパフォーマンスを見せることはできていない。
そのため、シルバーストンにファクトリーを構えるアストンマーティンは、地元で行われる今週末のレースにもさらに大きな修正を施したマシンを投入する計画にしているようだ。
クラックは、それらの改良が功を奏していい結果を残すことができれば、そこで初めてベッテルと話し合うことができるだけの材料が生まれることになるだろうと語り、次のように続けている。
「我々にとっては、間違いなくセバスチャンとの契約延長がプランAだよ」
「もし彼がそれを望むなら、彼は2023年もアストンマーティンで走ることになる」
■ベッテルのF1への取り組み方は「模範的」
最近のベッテルは環境問題や政治問題に積極的に発言するようになっており、そうした姿勢に対して批判的な声があるのも事実だ。
だが、クラックは、それでもベッテルが今もトップF1ドライバーであることに間違いはないと次のように語っている。
「彼の姿勢や仕事の進め方は模範的だよ」
「彼は早めにサーキットに来て、目の前のタスクに集中し、エンジニアたちと一緒にすべてのデータに目を通すんだ。彼はそのすべてを自分のものにしているよ」
それゆえ、マシンをもっと速くできるかどうかは、ベッテルではなくチームの責任だとクラックは次のように付け加えている。
「我々とクルマ次第なのは明らかだよ。彼が優勝を狙えるようにマシンを改良するという仕事が我々には残されているんだ」。