レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、先週末にバルセロナで行われたF1スペインGP決勝前に、燃料をルールで定められた許容温度内に設定できていなかったことを認めた。
■スペインGP決勝前にギリギリまでガレージにとどまっていたレッドブル
今年は、フォーメーションラップ開始の40分前にピットレーンがオープンとなり、通常ドライバーたちはそこからレコノサンスラップを行うことになる。そしてフォーメーションラップ開始30分前にはピットレーンがクローズされるため、遅くともそれまでにはF1マシンがピットアウトしていることが求められる。
だが、スペインGPではレッドブルやアルファタウリのF1マシンが異常に長くガレージにとどまっていた様子が国際映像でも紹介されていた。
ドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』は、レッドブルがマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの両マシンのエンジンを異常なほど長時間稼働させ、ピットレーンがクローズされる直前にガレージから出ていたと報じている。
■厳密にはルール違反ではないかとフェラーリのボス
レッドブルと2022年のF1タイトルを争っているフェラーリチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、スペインGP決勝の前にピットレーンがオープンした際、レッドブルのガレージ周辺で起こっていた異変に気付いていたという。
「もちろん、そこで何が起こっていたのか、私は知らない」
「だが、それがタンク内の燃料の温度に関係していたことは想像できるよ。周囲の温度より最高で10度も低くなっていた可能性があるからね」
そう語ったビノットは、もしもレッドブルがガレージ内において規定温度に満たない燃料でエンジンを動かしていたとすれば、それは厳密にはルール違反にあたるのではないかと示唆し、次のように付け加えている。
「レース週末の間は常にルールに従わなければならないと私は思っている。マシンがコースに出るときだけでなく、ボックス(ピット)の中でもね」
■「気温の変化を見落としていた」とレッドブル首脳
実際のところ、マルコはこの件について次のように語っている。
「気温が変化したことを見落としていたんだ。だが、そのうちそれに気付き、ガソリンを暖めるためにエンジンを作動させたんだ」
今季のF1第5戦マイアミGPでは、アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルとランス・ストロールがやはりレコノサンスラップを行わず、ピットクローズとなってもそのままガレージにとどまり、レースをピットレーンからスタートしていたが、これも燃料温度の設定ミスが原因だったものと考えられている。
ともあれ、スペインGPでは、レッドブルのフェルスタッペンとペレスはピットクローズ直前にコースに出て無事にグリッドにつくことができ、最終的にはこの2人が決勝で1-2フィニッシュを達成している。