2022年F1シーズンの序盤を支配するのはフェラーリとマクラーレンかもしれない。
そう考えているのは今年からルイス・ハミルトンのチームメートを務めることになるイギリス人ドライバーのジョージ・ラッセル(メルセデス)だ。
スペインのバルセロナ・カタルーニャ・サーキットで今年最初のプレシーズンテストに臨んでいる24歳のラッセルは次のように語った。
「いくつかのチームは本当に速そうに見えるよ。特に、赤いチームとオレンジのチームがね」
もちろん、ラッセルが言及したのは、フェラーリとマクラーレンのことだ。
「彼らはすべてをコントロールできているように見えるよ」
「彼らは燃料が多くても少なくても非常に強そうだし、タイヤの摩耗も問題ないようだ」
そう続けたラッセルは次のように付け加えた。
「僕たちがそれぞれ違うプログラムに取り組んでいるのはわかっているけれど、平均的に見れば、僕たちが彼らに遅れをとっているのは間違いないよ」
通算8回目のF1タイトル獲得に再チャレンジすることになるハミルトンも次のようにコメントしている。
「フェラーリは昨年ほとんど開発を行わなかった。それによって彼らはどのチームよりも数か月先を行っているのかな?」
「現時点で彼らがどういう位置にいるのか正確にわかる者など誰もいないよ」
実際のところ、2021年には、タイトル争いを行っていたメルセデスとレッドブルには2021年型マシンの開発を続ける必要があったものの、タイトル争いにからめないチームはこれまでとは大きく異なる技術レギュレーションが導入される2022年型マシンの開発の方に注力していた。
つまり、2022年シーズンはそうしたチームがより競争力のあるマシンを持ち込み、メルセデスやレッドブルが出遅れる可能性もあると考えられていたわけだ。
こうした中、今シーズン序盤は苦戦することになると思うかと質問されたレッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)は次のように答えた。
「まだ開発においては初期段階だよ」
「これまでのところ、我々は主にエアロダイナミクス(空力)のテストを行っているところだ」
2022年の新技術レギュレーションにおいて特筆すべきことのひとつが、F1マシンのシャシーそのものがダウンフォースを発生させる“グラウンドエフェクト”効果を持つものになる点だ。これにより、2022年のF1マシンの空力特性は昨年までとは大きく異なるものになるのは間違いない。
ところが、今回のバルセロナでのテストにおいて、2022年型F1マシンの問題点が明らかになっている。それは、グラウンドエフェクトカーとなった2022年型マシンが“ポーポイズ現象”を発生してしまうことだ。
“ポーポイズ現象”とは、高速走行時にクルマに縦揺れが発生し、それが止まらなくなる現象のことだ。
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、この問題について次のように語っている。
「どこかの時点で、チームたちが解決策を見出すのは間違いないと思っている」
「(問題は)それにどれくらい時間がかかるかだ」
「先に解決策を見つけた者が、シーズン開幕時にアドバンテージを持つことになるだろう」
メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフも次のように語った。
「高速周回するための鍵は、できるだけ低い位置で走り、なおかつこのバウンドの問題をコントロールすることだ」
「フェラーリとマクラーレンが現時点では最もうまくやっているよ」
フェラーリと並んで2022年のタイトル獲得候補ではないかと言われているマクラーレンだが、チーム代表のアンドレアス・ザイドルはフェラーリのモーターホームを指差しながら次のように答えた。
「現時点では、彼らが少し先を行っていると見ているよ」
「彼らは本当に強い印象を与えているし、信頼性も非常によさそうだ」
実際のところ、フェラーリドライバーのカルロス・サインツは、2022年型F1マシン『F1-75』での走行は非常に快適であり、2022年にはほかのクルマに追従することが容易になると言われていることが本当かどうかを確かめるために、わざと同郷のフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)の後ろを走ってみたという。
「古いクルマと比べると、その違いはかなり顕著だと言えるよ」
そう語ったスペイン出身ドライバーのサインツは次のように付け加えている。
「一歩前進できたと、僕は楽観視しているよ」
今年はディフェンディングチャンピオンとして“1”のカーナンバーが施されたレッドブル2022年型マシンで戦うことになるマックス・フェルスタッペンもこのことに関しては同様の感触を得られているようだ。
「以前のような奇妙なダウンフォースの喪失はもうないよ」
そう語ったフェルスタッペンは次のように付け加えた。
「問題が完全に解決されたとは思わないけど、今では状況がもっと予測しやすくなったと思うよ」