元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、メルセデスに移籍したジョージ・ラッセルが2022年F1シーズン序盤からチームメートのルイス・ハミルトンにプレッシャーをかけることができると考えているようだ。
メルセデス所属ドライバーであるイギリス出身のラッセルは、昨年まで3シーズンをウィリアムズで過ごしてきた。そして、今年はアルファロメオに移籍したバルテリ・ボッタスの後任としてメルセデスのシートを獲得。ついに念願だったトップチームでF1を戦うことになった。
ラッセルは、バーレーンで行われた2020年シーズン第16戦サヒールGPでは新型コロナウイルス感染によりレースを欠場することとなったハミルトンの代役としてメルセデスから出走した経験を持っている。
ラッセルはそのときハミルトンのマシンのステアリングを初めて握ったにもかかわらず、予選でボッタスに次ぐ2番手タイムをマーク。そして、決勝ではスタートでボッタスをかわして前に出ると、終盤にチームのピット作業ミスで順位を落とすまでトップを快走。もしチームのピットミスさえなければ間違いなく初優勝を手にしていたと考えられるパフォーマンスを見せた。
それだけに、24歳のラッセルはハミルトンにとってボッタス以上に手強いチームメートになるだろうと考えているF1関係者も少なくない。
7度F1王者となったミハエル・シューマッハを兄に持つラルフ・シューマッハは、18日(金)に行われたメルセデスの2022年型マシン発表イベントにおいて、ハミルトンとラッセルがお互いに警戒している様子がわかったとし、ひとたびシーズンがスタートすれば、この2人が本気で立ち向かい合うことになるだろうと考えている。
「ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルという2人のドライバーが穏やかな表情をしていたのが面白いと思ったよ」
「若いラッセルは非常に慎重にコメントしていたし、今は多くを学びたいと思っていることを強調していた」
「2020年のバーレーンでジョージがルイスの代役としてバルテリ・ボッタスと一緒に走ったときにはトーンがかなり違っていた。だが、内面では違うと確信しているし、私は最初から彼がルイスを倒すことができると信じているよ」
現在は母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』で解説者を務めているラルフ・シューマッハだが、ラッセルよりも13歳年上である37歳のハミルトンがいつまでメルセデスのナンバー1ドライバーであり続けることができるかはわからないとし、それは一方でラッセルがどれだけすぐにメルセデスの2022年型マシンである『W13』の能力を最大限に引き出せるかにかかっていると考えている。
「メルセデスは今、素晴らしいラインアップを手にしていると思う」
「あそこ(メルセデス)は何かを変えるべきだと我々もSkyを通じて言い続けてきた。どうしてバルテリ・ボッタスを交替させるのにこれほど長い時間がかかったのか、私には全くわからないよ」
「ジョージ・ラッセルは類まれな才能の持ち主だと思っている。彼がルイス・ハミルトンと同じような成長を遂げるかどうかはまだわからないがね」
そう語った46歳のラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「それにルイスが37歳だということも忘れてはならないし、メルセデスは今後のことを考えていかなくてはならないよ」