2022年のフェラーリF1チームには、昨年との比較において、いくつかの変化が生じているようだ。
■メインスポンサーの交替
まず、これまで長年にわたってフェラーリを支援し続けてきたタバコ会社のフィリップモリス社が、ついにスポンサーから完全に降りることが確定したと考えられている。
F1でのタバコ宣伝広告が禁止されてからもずっとスポンサーとしてフェラーリをサポートしてきていたフィリップモリスだが、近年は『Mission Winnow(ミッション・ウィノウ)』というプロジェクトを推進し、そのロゴがフェラーリのマシンに描かれていた。
だが、伝えられるところによれば、2022年シーズンを迎えるにあたり、かつてフェルナンド・アロンソ(現アルピーヌ)が在籍していたころにスポンサーを務めていたスペインのサンタンデール銀行がフェラーリのメインスポンサーとして復帰することになったようだ。もちろん、これは2021年からフェラーリのドライバーとなったスペイン出身のカルロス・サインツの存在が大きいだろう。
■アルファロメオとの関係が希薄に
また、フェラーリが現在エンジンを供給している2チーム(アルファロメオとハース)との関係にも変化が生じてきていることは間違いないようだ。
実際のところ、スイスに本拠を構えるザウバーが運営するアルファロメオでは2022年に向けて引退したキミ・ライコネンに替えてメルセデスに所属していたバルテリ・ボッタスを獲得。そして、そのチームメートには、2019年からドライバーを務めていたフェラーリ所属のアントニオ・ジョビナッツィを外して、中国人ルーキードライバーの周冠宇(チョウ・グァンユー)を起用することを決定している。
これは、アルファロメオとフェラーリとのつながりが時間の経過とともに薄れてきていることを示すものだと受け止められている。
■ハースとの関係はさらに強固に
その一方で、もうひとつのフェラーリエンジンユーザーであるハースとフェラーリの関係がより深まってきていることは間違いない。
最近の報道によれば、ハースはイタリアのマラネロにあるフェラーリ本社の敷地内にふたつの新しいオフィスを構えているという。そのひとつは設計用、もうひとつは風洞作業用のものだとされている。
フェラーリのアカデミードライバーであるミック・シューマッハを昨年から起用するなど、実質的にフェラーリのBチームとしての役割を担っているとも見えるハースだが、チーム代表のギュンター・シュタイナーはそうした見方について次のように語っている。
「フェラーリと我々はずっといい関係にある。それに関しては大きな変化は何もないよ」
だが、シュタイナーも現在イタリアにあるハースのオフィスにはフェラーリから30名以上のスタッフが転籍してきていることを認めている。これは、バジェットキャップ(チーム予算上限値)導入に伴ってチーム規模の縮小を余儀なくされたフェラーリが余剰となったスタッフをハースに送り込んだものだ。
こうしたことから、フェラーリとハースの関係強化が進んでいるのは間違いなく、フェラーリもその恩恵により2022年には競争力をかなり高めてくる可能性があるとも考えられている。
■フェラーリは今年もタイトル争いはできないとレッドブル首脳
しかし、レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、フェラーリが2022年にタイトル争いにからんでくるとは考えていないようだ。
「コース上での力関係ということに関して言えば、激震が起こるとは考えていないよ」
そう語った78歳のマルコは次のように付け加えた。
「フェラーリが一歩前進することができ、ひとつかふたつのレースで勝つことはあるかもしれないがね」